GLOSSARY · 宗教・儀礼

ピュティアとは

読み: ぴゅてぃあ

意味

ピュティアは、古代ギリシャのデルフォイにあったアポロン神殿で、神アポロンの言葉として神託を告げた巫女の称号です。個人の名前ではなく、代々この役目についた女性たちを指します。

ピュティアは「ぴゅてぃあ」と読みます。デルフォイの神託は古代ギリシャで最も権威のある神託の一つで、都市国家の植民や戦争から個人の悩みまで、さまざまな相談が寄せられました。その答えを語る役を担ったのがピュティアです。

神託所そのものの歴史や有名な神託はデルフォイの神託のページで紹介しています。ここでは、神託を語った巫女の側に焦点を当てます。

語源

デルフォイの古い呼び名ピュトー、またはアポロンが退治したとされる大蛇ピュトンにちなむとされます

どんな女性が選ばれたのか

ピュティアはデルフォイ地元の女性から選ばれたとされます。古い時代には若い女性だったものの、のちに年配の女性が若い装いで務めるようになったと伝えられます。就任すると神殿に仕え、清らかな暮らしを送ることが求められたとされます。最も盛んな時期には、2人の巫女と控えの1人の計3人が務めたという記録もあります。

神託の手順

古い時代には、神託はアポロンの誕生日とされた年に一度の日にだけ行われ、のちに冬の数か月を除く毎月7日に行われるようになったとされます。ピュティアはカスタリアの泉で身を清め、神殿の奥の聖所で三脚台に座り、月桂樹とともに神託を告げたと伝えられます。

相談者は供物をささげ、神官を通じて問いを伝えました。ピュティアの言葉は神官が整え、韻文の形で伝えられることもあったとされます。帝政期の著述家プルタルコスは自らデルフォイの神官を務めた人物で、神託が衰えた理由を論じた著作のなかで、巫女のようすについて貴重な証言を残しています。

蒸気説をめぐる議論

古代の著述には、地の裂け目から立ちのぼる気によってピュティアが恍惚状態になったという記述があります。2001年ごろ、地質学者デ・ブールと考古学者ヘイルらの研究チームが、神殿の地下で断層が交差していることや、エチレンなどの甘い匂いの気体が出ていた可能性を指摘し、話題になりました。ただし、その気体の量で恍惚状態が起こりうるかには反論も多く、現在も決着はついていません。

よくある誤解

ピュティアは意味不明な叫びを発し、神官がそれを訳したと描かれることがあります。しかし古代の文献には、ピュティア自身がはっきりと答えたと読める記述も多く、実際のようすについては研究者の見方が分かれています。また、神託の言葉がいつも謎めいていたわけではなく、短く具体的な答えも多かったとされます。

よくある質問

Q. ピュティアはいつまで神託を告げていたのですか?
A. デルフォイの神託はローマ帝政期まで続き、4世紀末、キリスト教を国教としたテオドシウス帝の時代に異教の祭祀が禁じられたことで終わったとされます。
Q. ピュティアは何人いたのですか?
A. ピュティアは役職名で、長い歴史のなかで多くの女性が務めました。最盛期には同時に3人が務めたという記録があるとされます。
Q. ピュティアとシビュラは同じですか?
A. どちらも古代の女預言者ですが、ピュティアはデルフォイの神殿で神託を告げる公的な役職、シビュラは各地に伝承が残る予言者を指す呼び名で、別の存在として扱われます。

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