GLOSSARY · 心理学

共時性とは

読み: きょうじせい

意味

因果関係では説明できない二つ以上の出来事が、本人にとって意味のある形で同時に起こる現象を指す言葉です。スイスの精神科医C・G・ユングが提唱しました。

共時性は「きょうじせい」と読み、英語のシンクロニシティ(synchronicity)の訳語です。「意味のある偶然の一致」とも説明されます。ある人のことを考えていたらその人から連絡が来た、夢で見たものを翌日に目にした、といった体験がよく例に挙げられます。

ユングは、こうした出来事を単なる偶然として片づけず、心の内側と外の出来事が意味によって結びつく現象として考えようとしました。

語源

C.G. Jung、Synchronicity(1952)

由来と歴史

ユングは長年この考えを温めていたとされ、1952年に論文「共時性:非因果的連関の原理」を発表しました。この論文は、物理学者ヴォルフガング・パウリの論文と一冊にまとめて刊行されています。

それ以前にもユングは、リヒャルト・ヴィルヘルムによる易経の翻訳に寄せた序文の中で、易の占いを共時性の考え方から説明しようとしていました。

よく知られるスカラベの逸話

ユングが紹介した例として有名なのが、スカラベ(黄金虫)の逸話です。ある患者が、金色のスカラベをもらう夢の話をしていたちょうどそのとき、窓ガラスをたたく虫がいて、ユングが捕まえてみるとスカラベによく似た甲虫だった、という話です。ユングはこの出来事が、行き詰まっていた治療の転機になったと述べています。

占いとの関係

易経やタロットのように、偶然に引いたカードや出た卦に意味を読み取る占いは、共時性の考え方と結びつけて語られることがよくあります。偶然の結果が、そのときの自分の状況や心の状態と重なって見える、という説明です。

ただし、ユング自身も共時性を証明済みの法則としてではなく、因果関係とは別の結びつきを考えるための仮説的な原理として示しました。占いが当たる理由を科学的に裏づけた理論ではない点には注意が必要です。

よくある誤解

「シンクロニシティが起きたから運命の人だ」「願いが叶う前兆だ」といった使われ方をされることがありますが、ユングの概念はそうした予言や引き寄せを約束するものではありません。また心理学では、偶然の一致に意味を感じやすい傾向をアポフェニアなどの認知の働きとして説明する立場もあります。意味を感じた体験を、自分を振り返るきっかけとして受け止めるくらいがちょうどよい距離感です。

よくある質問

Q. シンクロニシティと偶然の違いは何ですか?
A. 出来事そのものは偶然でも、本人にとって意味のある形で重なったと感じられる点に注目するのがシンクロニシティの考え方です。単なる偶然と区別する客観的な基準があるわけではありません。
Q. シンクロニシティは科学的に証明されていますか?
A. 証明された現象とはされていません。ユングが提唱した心理学的な概念で、評価は分かれています。
Q. シンクロニシティが続くのは何かのサインですか?
A. スピリチュアルな分野ではサインと受け止める考え方もありますが、確かめられたものではありません。気になる出来事は、自分が今なにを大切にしているかを考えるきっかけとして活かすのがおすすめです。

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参考文献

  • 『共時性: 因果性のない結合原理』 — C.G. Jung (1952)
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