元型とは
読み: げんけい
意味
ユング心理学で、人類に共通する集合的無意識の中にあるとされる、イメージや行動の基本的な型のことです。アーキタイプとも呼ばれます。
元型は「げんけい」と読み、英語ではアーキタイプ(archetype)といいます。スイスの精神科医C・G・ユングが用いた概念で、神話・昔話・夢などに、時代や地域を越えて似たような人物像や物語の型が繰り返し現れることを説明するために考えられました。
元型そのものは目に見えるものではなく、「母なるもの」「賢い老人」のような、具体的なイメージを生み出すもとになる型とされます。
語源
C.G. Jung、Archetype
集合的無意識と元型
ユングは、個人の経験からできた無意識(個人的無意識)のさらに奥に、人類に共通する層があると考え、それを集合的無意識と呼びました。元型は、この集合的無意識を形づくる要素として位置づけられています。
世界各地の神話に英雄の冒険や偉大な母の姿が登場することを、ユングはこうした共通の型の現れとして説明しようとしました。
代表的な元型
ユングやその後の研究者がよく取り上げる元型には、次のようなものがあります。
- ペルソナ:社会の中で見せる顔、役割としての自分
- 影(シャドウ):自分では認めたくない、生きられなかった側面
- アニマ・アニムス:男性の心の中の女性像、女性の心の中の男性像
- グレートマザー:包み込み育てる一方で、飲み込む面も持つ母なるもの
- 老賢者:知恵や導きを与える人物像
- トリックスター:秩序をかき回し、変化をもたらすいたずら者
- 自己(セルフ):心全体のまとまりや中心
タロットとの関係
タロットの大アルカナ22枚は、元型を象徴するカードとして解釈されることがよくあります。たとえば「女帝」をグレートマザー、「隠者」を老賢者、「愚者」をトリックスターや旅の始まりに重ねる読み方です。
ただし、タロットは15世紀ごろのイタリアでカードゲームとして使われ始めたとされ、ユングの理論より何世紀も前から存在します。元型とタロットを結びつける読み方は、20世紀以降にユング心理学に影響を受けた人たちが広めた解釈であり、カードの成り立ちそのものではありません。
物語や創作での使われ方
神話学者ジョーゼフ・キャンベルが英雄神話に共通する流れを論じたことなどもあり、元型の考え方は小説・映画・ゲームの人物づくりや、ブランドづくりの分野でも参考にされています。
よくある誤解
元型は、性格をいくつかのタイプに分類する性格診断とは異なります。一人の心の中にさまざまな元型が働いていると考えるのがユングの立場です。また、集合的無意識や元型は実験で確かめられた事実というより、心を理解するための理論的な枠組みとして受け止められています。
よくある質問
- Q. 元型とアーキタイプは同じ意味ですか?
- A. 同じ意味です。英語の archetype の訳語が元型で、カタカナでアーキタイプと書くこともあります。
- Q. 元型はいくつありますか?
- A. 決まった数があるわけではありません。ユングはさまざまな元型について論じており、代表的なものとして影・アニマ・アニムス・グレートマザー・老賢者などがよく挙げられます。
- Q. タロットの大アルカナはユングが作ったのですか?
- A. いいえ。タロットはユングよりはるか前から存在します。大アルカナを元型として読むのは、20世紀以降に広まった解釈です。