落下物・くじ占い
投げる、引く、落とす。偶然性が示す神託
落下物・くじ占いとは
くじや小物を投げて出た形や配置から解釈する占術群。日本のおみくじ、北欧のルーン、アフリカの貝殻占い、殷代中国の骨占いなど、偶然に神意を読む文化は世界最古から存在する。
歴史と発展
殷代中国の甲骨占い(BC14世紀頃)は現存する最古の文字資料の一つで、亀甲・獣骨に火を当ててひび割れから神意を読んだ。ヨーロッパのルーンはゲルマン諸族が用いた文字兼占具(2世紀以降)で、タキトゥス『ゲルマニア』にはゲルマン人の木片によるくじ占いの記録がある。日本のおみくじは平安時代の元三大師(良源)の百観音籤が起源とされ、現在の形式は近世に確立。西アフリカの貝殻占い(Cowrie shell divination)は奴隷貿易でカリブ海に渡り、サンテリアの中核儀礼となった。
学術的な位置付け
偶然に神意を見る営みは、宗教学・人類学の中心テーマ。James G. Frazer『金枝篇』(1890)は世界中のくじ占い事例を体系的に集めた古典。日本の民俗学では柳田國男・折口信夫のおみくじ研究がある。ゲルマン学ではMaureen Halsallのルーン研究が権威。認知心理学の観点では「ランダム性への意味付け」(pattern recognition, apophenia)が主要トピック。
主要な研究者・思想家
- James G. Frazer 『金枝篇』で世界の民俗占いを集大成
- Tacitus (タキトゥス) 『ゲルマニア』(98年)でゲルマン人のくじ占いを記録
- 柳田國男 日本のおみくじの民俗学的研究
- 元三大師 良源 百観音籤(おみくじ原型)の考案とされる
落下物・くじ占いに属する主要な占術
世界各地で発展した7種の占術を、文化圏別に紹介します。
おみくじ
日本神社仏閣の吉凶札
ルーン占い
北欧・ゲルマン24文字のフサルクを袋から引く
コイン・タリスマン投げ
世界表裏で二択
貝殻占い(Cowry)
西アフリカ開閉の組み合わせ
骨占い(Osteomancy)
中国殷代・アフリカ亀甲獣骨→甲骨文字の起源
骰子占い(Astragalomancy)
ギリシャ距骨(踝の骨)や骰子を投げる
おろち占い(蓍)
中華蓍草を50本使う古典易の作法
参考文献
- 『金枝篇』 (1890)
- 『ゲルマニア』 (98)
- 『The Old English Rune Poem』 (1981)