死神— Death
終わりと新しい始まりの門
ライダー版の絵柄
馬に乗った謎めいた騎士がゆっくり進み、神秘の薔薇を描いた黒い旗を掲げています。武器は持っていないのに、王も子どもも乙女も前に倒れ、両手を合わせた聖職者が最期を待っています。地平の二本の柱のあいだには不死の太陽が輝いています。
死神は一つのサイクルの終わりと再生を象徴。骸骨の騎士が持つ白い薔薇の旗は、死を通じて訪れる純粋な新生を示します。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
大きな変化・一つの区切り・古いものが終わり新しい章が始まる。
変化に抵抗している・執着を手放せない・停滞している状態。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 終わり、死すべきもの、破壊、腐敗。男性には恩人を失うこと、女性には多くの食い違い、未婚の女性には結婚の計画の失敗
- 逆位置
- 停滞、眠り、無気力、石のように固まること、夢遊。絶たれた希望
原典の正位置は文字どおり「終わり」です。ただしウェイトは、この札についての従来の解釈「再生・創造・更新」は他の札より出来がよいと書いており、現代の「変化・再生」の読み方はここに通じます。逆位置が「停滞・無気力」になるのは、終わるべきものが終われない状態と読めます。
恋愛・仕事・金運・健康での「死神」
関係の終わりや、質的な変化・新しい形への移行。
終わった関係への未練や、変化を恐れて現状にとどまる暗示です。手放すべきものを見極めることで、新しい関係の余地が生まれます。
退職・部署異動・大きなキャリアチェンジ。
変えるべき仕事のやり方や環境に固執しやすい時期です。終わりを受け入れることを恐れず、次に進むための準備を始めましょう。
収入源の切り替え・古い資産の整理・断捨離。
古い習慣を見直し、生活を切り替える節目を示すカードです。死を直接意味するものではありません。無理のない範囲で生活をリセットしましょう。
終わりを恐れず受け入れる。手放した先に新しい始まりがある。
No — 現状の終わりを示すため、今の形のままでは「No」と読みます。ただし区切りの後には新しい始まりが用意されています。
※健康に関する記述は占いとしての読み方です。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
「死神」と組み合わせて読まれる札
黄金の夜明け団の対応
ライダー版の作者ウェイトと画家スミスがともに属した黄金の夜明け団は、大アルカナ22枚をヘブライ文字22字に当て、さらに元素・惑星・星座を割り当てました。死神はヘブライ文字のヌンと蠍座に対応し、団の文書「Book T」では「大いなる変容者たちの子、死の門の主」(The Child of the Great Transformers: the Lord of the Gates of Death)と呼ばれています。星座の性質は蠍座の解説で読めます。
Book Tは巻末で各札の短い意味も挙げており、死神は「時、老い、変容、自ら望まない変化。あるいは死、破壊(後者は特定の札と並んだときだけ)」とされています。同じ団の伝統でも、ウェイトの意味の一覧とは重なる語と違う語があります。
番号の13は各桁を足すと4になり、4番「皇帝」と組にして読む人もいます(数秘術から借りた現代の読み方です)。同じ数になる札には皇帝があります。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- Wikipedia(英語版)「Tarot card reading」 エテイヤ、レヴィ、黄金の夜明け団、ライダー版までの占いとしてのタロットの歴史と、大アルカナとヘブライ文字の対応表。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。