タロット小アルカナ56枚
4つのスートに、エースから10までの数札と、ペイジ・ナイト・クイーン・キングの人物札が14枚ずつ。各カードのページでは、ライダー版の絵柄、作者ウェイトが挙げた原典の意味、現代の読み方を分けて紹介しています。
ワンド · Wands火
ワンドは火のエレメントに対応し、情熱・意欲・創造性・行動力を表すスートです。仕事への意欲や新しい挑戦、自己表現など「何かを始めたい」というエネルギーの状態を読み取るときに中心となります。トランプではクラブに相当するとされます。
カップ · Cups水
カップは水のエレメントに対応し、感情・愛情・人間関係・直感を表すスートです。恋愛や友情、心の満足や喪失感など、気持ちの動きを読むときに重要になります。トランプではハートに相当するとされます。
ソード · Swords風
ソードは風のエレメントに対応し、思考・言葉・判断・葛藤を表すスートです。決断や対立、不安や真実の発見など、頭の中で起きていることを映し出します。厳しい絵柄が多いものの、明晰さや突破力という長所も示します。トランプではスペードに相当するとされます。
ペンタクル · Pentacles地
ペンタクルは地のエレメントに対応し、お金・仕事の成果・身体・生活の基盤など、目に見える現実を表すスートです。金運や働き方、健康や暮らしの安定を読むときに中心となります。コインとも呼ばれ、トランプではダイヤに相当するとされます。
小アルカナの読み方
小アルカナの一枚は、「スート(どの分野の話か)」と「数・人物(どの段階・どんな人か)」の組み合わせで読むのが基本です。 たとえばワンドの3は「火=意欲や仕事」の「3=最初の広がり」、ソードの3は「風=思考や言葉」の「3」と考えると、同じ数でも出る分野が変わることがわかります。 各カードのページの「同じ数の札」から、4つのスートを並べて比べられます。
数と人物札の一般的な意味
現代の解説書でよく使われる、数ごとの大まかな性格です。古い文献の意味とは必ずしも一致しません。
- エース(1)— 始まりと可能性
- エースは各スートのエネルギーが最も純粋な形で現れる札で、物事の始まりや種、まだ形になっていない可能性を表します。
- 2 — 二元性と選択
- 2は二つのものの関係を表し、選択・均衡・協力・対立など、一対一の向き合い方がテーマになります。
- 3 — 発展と表現
- 3は1と2が結びついて生まれる成長の段階で、最初の成果、広がり、協力による発展を示します。
- 4 — 安定と基盤
- 4は四隅がそろう安定の数で、基盤の確立や休止、守りを表します。安定が停滞に変わる面にも注意が必要です。
- 5 — 変化と試練
- 5は安定が崩れて変化が起きる段階で、葛藤・喪失・競争など、成長のための揺さぶりを表します。
- 6 — 調和と回復
- 6は試練のあとに訪れる調和の数で、回復・助け合い・勝利・公平さなどが主題になります。
- 7 — 内省と見極め
- 7は立ち止まって状況を見極める段階で、評価・防衛・迷い・戦略など、内面での選別がテーマになります。
- 8 — 動きと力の調整
- 8は変化と行動の数で、物事の加速、技能の習熟、あるいは束縛からの脱出など、力の使い方が問われます。
- 9 — 成熟と最終段階
- 9はサイクルの終盤を表し、達成目前の満足や、最後の試練・不安など、スートの性質が極まった状態を示します。
- 10 — 完成と次のサイクル
- 10は一つのサイクルの完成を表します。豊かさの到達であると同時に、終わりと次の始まりへの移行も意味します。
- ペイジ — 学びと知らせ
- ペイジはコートカードの中で最も若い人物で、学ぶ姿勢・好奇心・新しい知らせを表します。人物としては年少者や初心者を示すことがあります。
- ナイト — 行動と移動
- ナイトは目標に向かって動く人物で、行動力・移動・物事の進展を表します。スートの性質を極端に押し進める面もあります。
- クイーン — 受容と成熟
- クイーンはスートの性質を内面で成熟させた人物で、受容・共感・育む力を表します。人物としては成熟した女性や包容力のある人を示すことがあります。
- キング — 統率と責任
- キングはスートの性質を外に向けて使いこなす人物で、統率力・責任・決断を表します。人物としては成熟した男性や権限のある立場の人を示すことがあります。
ライダー版で変わったこと
15世紀以来のタロットでは、ソラ・ブスカ版などわずかな例外を除いて、数札は杖や杯の数を並べただけの図がふつうでした。1909年のライダー版(ウェイト=スミス版)は、画家パメラ・コールマン・スミスが2〜10の数札すべてに人物の場面を描き込んだ点で画期的で、 いまの小アルカナの読み方の多くはこの絵柄から生まれています。作者のウェイトも解説書で、小アルカナの意味はもともと占いの言葉にすぎないとしつつ、絵は「思いがけない部屋に通じる扉」のように直感の助けになると書いています。
一方で、ウェイトの解説書に載る意味には「色黒の男性」「既婚の女性に美しい子ども」のような、当時のカード占いらしい具体的な語も多く、同じ本の中で意味が食い違う札もあります。 たとえばワンドの4は逆位置でも「意味は変わらない」とされ、カップの2には逆位置の意味が書かれていません。各カードのページでは、こうした原典の記述をそのまま和訳して載せ、現代の読み方とどこが違うかを説明しています。
人物札と見た目の対応
ウェイトは、人物札を相談者のまわりの人に当てるとき、ワンドは金髪や赤褐色の髪の色白の人、カップは明るい茶色の髪の人、ソードははしばみ色か灰色の目と暗い茶色の髪の人、ペンタクルは黒髪で浅黒い人を表すと書いています。 ただし同時に、見た目より気質を優先してよい(とても色黒でも活発な人はソードで表したほうがよい)とも断っています。各札の本文では「色黒の男性」などと書かれていて、この対応と食い違う札もあります。
トランプとの対応
今日の解説では、ワンド=クラブ、カップ=ハート、ソード=スペード、ペンタクル=ダイヤとするのが一般的です。ところがウェイトの解説書では、ワンド=ダイヤ、ソード=クラブ、ペンタクル=スペードと別の対応が書かれており(カップ=ハートだけが共通)、決まった一つの答えがあるわけではありません。
黄金の夜明け団の称号とデカン
19世紀末の魔術結社・黄金の夜明け団は、2〜10の数札36枚を、黄道十二星座を10度ずつに分けた36の「デカン」に一枚ずつ割り当て、それぞれに「勝利の主」「悲しみの主」のような称号を付けました。 ワンドは牡羊座・獅子座・射手座、カップは蟹座・蠍座・魚座、ソードは天秤座・水瓶座・双子座、ペンタクルは山羊座・牡牛座・乙女座の三つずつを受け持ち、各デカンには土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月が決まった順番で巡ります。 エースは各元素の「力の根源」、人物札にも長い称号があります。人物札の読み方について同じ文書は、王子(ライダー版のキング)と女王はたいてい事柄に関わる実際の男女を表し、王(ライダー版のナイト)は向きによって物事が来ることや去ることを、王女(ライダー版のペイジ)は事柄に賛成または反対する意見や考えを表すと書いています。団の文書「Book T」は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、各カードのページの称号はこの文書から訳しています。
ライダー版の作者ウェイトと画家スミスはどちらも団の団員でしたが、ウェイトの解説書は団の対応表にはふれていません。称号とデカンは、ライダー版とは別の、団の伝統として読んでください。
次に読む
人生の大きなテーマを表す22枚は大アルカナ一覧に、タロットの歴史もそちらにまとめています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。
- Wikipedia(英語版)「Tarot card reading」 エテイヤ、レヴィ、黄金の夜明け団、ライダー版までの占いとしてのタロットの歴史と、大アルカナとヘブライ文字の対応表。
- Wikipedia(英語版)「Rider–Waite Tarot」 1909年にロンドンのライダー社から出たこと、絵をパメラ・コールマン・スミスが描いたこと。