ワンドの5
対立と競争の時
ライダー版の絵柄
若者たちが杖を振り回しています。遊びとも争いともつかない、模擬の戦いの場面です。
絵柄から読むポイント
若者たちが杖を振り回していますが、誰も倒れていません。真剣勝負というより、ぶつかり合いながら力を試している場面です。職場の議論や、きょうだい・友人との言い合いのように、勝ち負けより「場の熱」が問題になっている状況として読みます。誰が正しいかを決めるより、同じ目的に向き直れるかを考えると落ち着きます。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。数の5の一般的な位置づけは「5 — 変化と試練」です。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
小さな争いや競争・意見のぶつかり合い。
争いの終息・和解・葛藤の解決。
正位置では、意見がぶつかり合っていても、それが活気や工夫を生んでいる状態です。競い合うことで全体の水準が上がる場面もあります。逆位置では、争いが表に出なくなる一方で、言いたいことを飲み込んでいる人がいるかもしれません。静かになったことを解決と取り違えないよう、本音を話せる場を用意します。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 模倣(たとえば模擬戦)。富と幸運を求める激しい競争と奮闘。人生の戦い。そこから金・利得・富の札とする説もある
- 逆位置
- 訴訟、争い、ごまかし、矛盾
- 補足の意味
- 正位置「投機での成功」/逆位置「口論を有利に変えられる」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
ウェイトはこれを本気の戦いではなく「模擬の戦い」と書いています。競争を通じて利益を得るという読みもあり、現代の「意見のぶつかり合い・建設的な議論」という読み方は、この遊びに近い争いの性格に合っています。
テーマ別の読み方
正位置:口論・意見の対立・しかし建設的な議論も。
逆位置:言い争いが落ち着き、歩み寄りのきっかけが生まれる状態です。ただし不満を飲み込みすぎないよう注意しましょう。
正位置:競合との争い・社内対立・チーム内の意見対立。
逆位置:対立が収まる一方、意見を言わずに我慢している人がいる可能性もあります。本音を出せる場づくりが鍵です。
競争や駆け引きで出費がかさみやすいときです。張り合うための買い物は控えるほうが無難です。
ストレスで体に力が入りやすい時期です。適度な運動で発散すると気持ちが整いやすくなります。
対立を建設的な議論に変える。目的を思い出す。
どちらとも言えない — 競争や混乱の最中を表すため、すぐには結論が出にくいと読みます。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、ワンドの5には「争いの主」(Lord of Strife)という称号が与えられています。
Book Tがこの札に与えている意味は「激しい争い、大胆さ、向こう見ず。争いとけんか」です。どの札もまわりの札との関係で強まったり弱まったりする、と同書は繰り返し断っています。
同じ文書では、2〜10の数札が黄道十二星座を10度ずつに分けた36の「デカン」に割り当てられています。ワンドの5は獅子座の第1デカンに当たり、そこを受け持つ天体は土星です。
組み合わせの一例
同じ数の札
ワンドの14枚
ワンドのスート全体の性格は小アルカナ一覧のワンドの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。