ワンドのナイト
情熱と行動の騎士
ライダー版の絵柄
旅の途中の騎士が、短い杖を手にしています。鎧を着ていますが、戦いに向かうわけではありません。塚かピラミッドのそばを通っており、ウェイトは「馬の動きが乗り手の性格を表し、性急さを示す」と書いています。
絵柄から読むポイント
騎士は馬を駆って、塚やピラミッドの見える土地を通り過ぎていきます。原典の中心は「出発・移住」。転居や旅行、転職のように、いる場所そのものが変わる動きとして読みます。恋愛では、勢いよく近づいてくるけれど長くとどまらない相手を表すことも。動く前に、戻る道と連絡手段を確かめておくと安心です。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
情熱に駆られた素早い行動・冒険的な旅。
衝動的で無計画な行動・空回り。
正位置では、引っ越しや旅、転職など、場所を変える動きが勢いよく進む時期です。思い切った行動が吉と出ます。逆位置では、勢いが空回りして予定が途中で崩れる、出発が延びるといった状態。原典の逆位置は「決裂・中断」で、急な動きが人間関係にひびを入れないよう、周りへの説明を忘れずに。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 出発、不在、逃避、移住。色黒の友好的な若い男性。住まいを変えること
- 逆位置
- 決裂、分裂、中断、不和
- 補足の意味
- 正位置「悪い札。ある読みでは疎遠」/逆位置「女性には結婚。ただしおそらく実らない」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
原典の中心は「出発・移住」で、引っ越しや旅の札として読まれていました。現代の「情熱に駆られた行動」という読みは、ウェイトが指摘した馬の性急な動きに通じるものです。
テーマ別の読み方
正位置:情熱的な追求・情熱的なアプローチ。
逆位置:気持ちが先走り、相手との温度差が生まれやすい状態です。相手のペースを確認しましょう。
正位置:積極的な行動・営業成功・冒険的なプロジェクト。
逆位置:計画なしに動いて空回りしやすいときです。勢いを保ちつつ、段取りを一度整えましょう。
勢いで大きな買い物をしたくなる時期です。行動力は武器ですが、支払い計画は事前に確認しましょう。
エネルギーにあふれる一方、無理をしてけがをしやすいときです。準備運動や休息を大切に。
情熱を持って動く。ただし計画も忘れずに。
Yes — すばやい行動と前進を表すため、肯定と読むのが一般的です。ただし急ぎすぎには注意します。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、ワンドのナイトには「炎と稲妻の主、火の精霊たちの王」(The Lord of the Flame and Lightning: the King of the Spirits of Fire)という称号が与えられています。
黄金の夜明け団はコートカードの呼び名を独自に組み替えており、ライダー版の名前とは対応がずれます(騎馬の「ナイト」が王、「キング」が王子、「ペイジ」が王女に当たります)。ライダー版の絵はこの組み替えを採らず、伝統的なキング・クイーン・ナイト・ペイジのままです。
組み合わせの一例
同じ人物の札
ワンドの14枚
ワンドのスート全体の性格は小アルカナ一覧のワンドの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。