ペンタクルの5
困窮と孤独
ライダー版の絵柄
吹雪の中を、二人の物乞いが明かりのともった窓の前を通り過ぎていきます。
絵柄から読むポイント
吹雪の中、二人の物乞いが明かりのともった窓の前を通り過ぎていきます。お金や健康、居場所の不安を表す札です。原典は「なによりも物質的な困難」としつつ、恋人どうしの札とする読みもあると書いています。困ったときに出たら、すぐそばにある明かり(頼れる窓口や人)に気づけているかを確かめます。助けを求めることも、この札の示す行動です。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。数の5の一般的な位置づけは「5 — 変化と試練」です。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
経済的困難・孤独・寒さの中の状態。
困窮からの回復・支援を得る・改善。
正位置では、お金や健康、居場所に不安を感じやすい時期です。一人で抱えず、支援や相談の窓口を探します。逆位置では、困難から抜け出すきっかけが見える状態、あるいは原典の逆位置「無秩序・混乱」のように、問題が散らかって手がつけられない状態。まず一つの問題に絞って取り組みます。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- なによりも物質的な困難。図のような貧窮か、別の形の困難。一部の占い手には愛と恋人の札(妻、夫、友人、恋人、和合、親しみ)。この二つの読みは両立しない
- 逆位置
- 無秩序、混沌、破滅、不和、放蕩
- 補足の意味
- 正位置「理性によって幸運をつかむ」/逆位置「恋の悩み」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
同じ札を「困窮」とも「恋人どうし」とも読む占い手がいたことを、ウェイトは「両立しない」と率直に書いています。苦境の中でも二人で歩いている図だと見れば、どちらの読みにも通じるところがあります。
テーマ別の読み方
正位置:関係の孤独・心の距離・支え合いが必要。
逆位置:孤独や不安から抜け出し、支え合える関係を取り戻し始める状態です。助けを受け取ることを恐れないで。
正位置:経済的困難・失業・支援を求める勇気を。
逆位置:苦しい状況に改善の兆しが見えるときです。周囲の手助けを受け入れると立て直しが早まります。
収入の減少や予期せぬ出費で苦しくなりやすい時期です。一人で抱え込まず、使える支援や制度を調べましょう。
体が冷えたり疲れやすくなったりしやすいときです。不調を感じたら早めに休み、必要に応じて受診しましょう。
助けを求める勇気を。孤独に耐えすぎない。
No — 困窮と孤立を表すため、否定的な答えと読むのが一般的です。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、ペンタクルの5には「物質的な困難の主」(Lord of Material Trouble)という称号が与えられています。
Book Tがこの札に与えている意味は「お金や地位を失うこと、物質的な事柄の悩み。失職、損失、お金の心配」です。どの札もまわりの札との関係で強まったり弱まったりする、と同書は繰り返し断っています。
同じ文書では、2〜10の数札が黄道十二星座を10度ずつに分けた36の「デカン」に割り当てられています。ペンタクルの5は牡牛座の第1デカンに当たり、そこを受け持つ天体は水星です。
組み合わせの一例
同じ数の札
ペンタクルの14枚
ペンタクルのスート全体の性格は小アルカナ一覧のペンタクルの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。