ペンタクルのエース
豊かさの種が芽吹く
ライダー版の絵柄
いつものように雲から現れた手が、ペンタクル(五芒星を刻んだ円盤)を掲げています。
絵柄から読むポイント
雲から出た手が、一枚のペンタクルを掲げています。お金や仕事、体といった「形のあるもの」の始まりを表す札です。新しい収入源、資格の取得、健康づくりの第一歩などとして読みます。原典はこの札を「すべての札の中で最も吉」とまで書きますが、まだ一枚きりです。受け取ったものをどこに植えて育てるかを考えるところから始めます。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。エースの一般的な位置づけは「エース(1)— 始まりと可能性」です。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
新しい経済的機会・物質的な豊かさの始まり。
機会の逸失・経済的困難・物質への過度な執着。
正位置では、お金や仕事、健康の面で新しい良い機会が手に入る時期です。小さくても確かな始まりとして大切に扱います。逆位置では、機会はあるのに生かせない、あるいはお金への執着が強くなっている状態。原典の逆位置「富の悪い面」のように、手に入れたものがかえって負担にならないかを考えます。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 完全な満足、至福、恍惚。すばやい知らせ。金
- 逆位置
- 富の悪い面、悪い知らせ。大きな富でもある
- 補足の意味
- 正位置「すべての札の中で最も吉」/逆位置「宝の発見の分け前」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
ウェイトは、どちら向きでも繁栄と快適な暮らしを示すが、それが持ち主のためになるかどうかは向きによると書いています。現代の「豊かさの種」の読みは原典のとおりで、逆位置も「お金そのもの」より「お金との付き合い方」の問題として読めます。
テーマ別の読み方
正位置:安定した関係の始まり・現実的な愛。
逆位置:条件や損得を気にしすぎて、心が動きにくい状態です。安心感と同じくらいときめきも大切にしましょう。
正位置:新しい仕事・収入源・経済的成功の始まり。
逆位置:せっかくの機会を見送ったり、準備不足で活かせなかったりしやすいときです。現実的な計画を立て直しましょう。
新しい収入源や堅実な機会が訪れやすい時期です。小さくても確かなチャンスを丁寧に育てましょう。
体の土台を整えるのに向いたときです。食事や睡眠など基本的な習慣を見直しましょう。
現実的な機会を大切に。地に足をつける。
Yes — 物質的な豊かさの始まりを表すため、確かな肯定と読むのが一般的です。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、ペンタクルのエースには「地の力の根源」(The Root of the Powers of Earth)という称号が与えられています。
Book Tがこの札に与えている意味は「あらゆる意味での物質性。良くも悪くも、ある意味では幻。物質的な利得、労働、力、富」です。どの札もまわりの札との関係で強まったり弱まったりする、と同書は繰り返し断っています。
エースは星座やデカンには割り当てられず、地のエレメントそのものの根源とされています。
組み合わせの一例
同じ数の札
ペンタクルの14枚
ペンタクルのスート全体の性格は小アルカナ一覧のペンタクルの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。