女帝— The Empress
豊穣と創造性の実り
ライダー版の絵柄
豊かな衣の女性が堂々と座り、十二の星を束ねた冠をかぶっています。そばの盾には金星の記号、前には実りかけた麦畑、奥には滝。手にした笏の先には、この世界をあらわす球が付いています。
女帝は大地の豊かさと創造の力を象徴。麦畑と川の流れる楽園の中で、宝石の冠と権杖を持つ姿は、育み・実らせる力を示します。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
豊かさが具現化する時期・愛情に恵まれる・創造プロジェクトが実る・妊娠のサインなど。
過保護や依存関係、創造性の枯渇。または自分に対するケアが疎かになっている状態。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 実り、行動、主導、長寿。知られていないこと、ひそかなこと。困難、疑い、無知
- 逆位置
- 光、真実、こじれた事柄の解決、公の祝いごと。別の読みでは迷い
原典では正位置に「疑い・無知」が含まれ、逆位置のほうに「真実・もつれの解決」という明るい意味が置かれています。逆位置がいつも悪い意味になるわけではないことがよくわかる一枚です。現代の「豊かさ・母性」の読みは、麦畑と滝の絵柄と、ウェイトの「実り豊かな母」という言い方に沿っています。
恋愛・仕事・金運・健康での「女帝」
深い愛情と安定した関係が育つ時期。結婚・妊娠・家族計画に最適。
尽くしすぎや依存、または相手に求めすぎる状態になりやすい暗示です。相手を満たす前に、まず自分自身を大切にする時間を持ちましょう。
クリエイティブなプロジェクトが実を結ぶ。育成・教育・アート系の分野で真価を発揮。
アイデアが育ちきらない、成果が出るまでに時間がかかる時期です。完璧を求めすぎず、小さく形にして育てていく姿勢が助けになります。
安定した収入・投資の実り。無理せず、豊かさを享受するべき時。
心地よさや食事の楽しみを大切にできるカードです。満たされる感覚を得つつも、食べすぎや運動不足には注意してバランスを整えましょう。
自分を愛し、心地よい環境を整える。豊かさは自然と流れ込むもの、抱え込まない。
Yes — 豊かさと実りを示すカードなので「Yes」と読みます。時間をかけて育てるほど、良い結果に結びつきやすいと考えられます。
※健康に関する記述は占いとしての読み方です。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
「女帝」と組み合わせて読まれる札
黄金の夜明け団の対応
ライダー版の作者ウェイトと画家スミスがともに属した黄金の夜明け団は、大アルカナ22枚をヘブライ文字22字に当て、さらに元素・惑星・星座を割り当てました。女帝はヘブライ文字のダレトと金星に対応し、団の文書「Book T」では「力ある者たちの娘」(The Daughter of the Mighty Ones)と呼ばれています。
Book Tは巻末で各札の短い意味も挙げており、女帝は「美、幸福、喜び、成功。周りの札がひどく悪ければ、贅沢と放蕩」とされています。同じ団の伝統でも、ウェイトの意味の一覧とは重なる語と違う語があります。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- Wikipedia(英語版)「Tarot card reading」 エテイヤ、レヴィ、黄金の夜明け団、ライダー版までの占いとしてのタロットの歴史と、大アルカナとヘブライ文字の対応表。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。