恋人— The Lovers
選択と結びつきの瞬間
ライダー版の絵柄
天頂に太陽が輝き、その下で大きな翼の人物が腕を広げています。前景には裸の男女。男性の後ろには十二の実をつけた生命の木、女性の後ろには蛇が巻きつく善悪の知識の木が立っています。
恋人は選択と結合を象徴。裸で立つ男女と天使が描かれ、人生の重要な選択と、それによって生まれる調和を示します。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
運命的な出会い・調和のとれた関係・重要な選択で正しい道を選べる時期。
関係の不調和・誤った選択・誘惑に負ける可能性を示唆。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 引きつけ合う力、愛、美、乗り越えた試練
- 逆位置
- 失敗、愚かな計画。別の説では破れた結婚と、あらゆる食い違い
ウェイトは、古い札の「結婚」の図や、一人の男性が悪徳と美徳のあいだで迷う後世の図をやめ、エデンの園の男女を思わせる図に描き直したと書いています。現代のキーワード「選択」は、この旧図の「二つのあいだで迷う」場面に通じる読み方です。
恋愛・仕事・金運・健康での「恋人」
深い愛情と精神的な結びつき。運命の相手との出会いや、既存の関係の深化。
気持ちのすれ違いや、誘惑・迷いによって関係が揺らぎやすい暗示です。相手と自分が本当に望むものを、落ち着いて確かめ合いましょう。
パートナーシップ・共同事業・チームでの成功。選択が重要な局面。
選択を先延ばしにしたり、相性の合わない相手と組んだりしやすい時期です。何を優先するかを決めてから判断すると迷いが減ります。
配偶者・パートナーとの合意による大きな決断。共有財産に関する選択。
心の満足感が体調にも影響しやすいことを示すカードです。人と楽しく過ごす時間を持ちつつ、生活リズムが乱れないよう気を配りましょう。
頭ではなく心で選ぶ。真実の愛と欲望を見極める眼を持つ。
Yes — 調和と心からの選択を示すカードなので「Yes」と読みます。自分の気持ちに正直に選ぶことが前提になります。
※健康に関する記述は占いとしての読み方です。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
「恋人」と組み合わせて読まれる札
黄金の夜明け団の対応
ライダー版の作者ウェイトと画家スミスがともに属した黄金の夜明け団は、大アルカナ22枚をヘブライ文字22字に当て、さらに元素・惑星・星座を割り当てました。恋人はヘブライ文字のザインと双子座に対応し、団の文書「Book T」では「声の子ら、力ある神々の託宣」(The Children of the Voice; the Oracles of the Mighty Gods)と呼ばれています。星座の性質は双子座の解説で読めます。
Book Tは巻末で各札の短い意味も挙げており、恋人は「(受け身の、霊媒的な)霊感、原動力、行動」とされています。同じ団の伝統でも、ウェイトの意味の一覧とは重なる語と違う語があります。
各桁を足すと6になる悪魔(15)と並べて読む人もいます(数秘術から借りた現代の読み方です)。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- Wikipedia(英語版)「Tarot card reading」 エテイヤ、レヴィ、黄金の夜明け団、ライダー版までの占いとしてのタロットの歴史と、大アルカナとヘブライ文字の対応表。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。