教皇— The Hierophant
伝統と学びの導き
ライダー版の絵柄
三重の冠をかぶった人物が二本の柱のあいだに座っています(女教皇の神殿の柱とは別のもの)。左手に三重の十字の笏を持ち、右手で教えの表と裏を分ける印を結んでいます。足もとには交差した鍵、前には白衣の聖職者が二人ひざまずいています。
教皇は精神的な導き手・伝統の守護者を象徴。二本の柱の間で祝福を与える姿は、既存の枠組みの中での学びを示します。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
伝統的な価値観に従うと吉・メンターや師に出会う・組織や制度が助けになる時期。
既存のルールに縛られない自由な選択が求められる時期。改革のタイミング。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 結婚、同盟、とらわれ、隷属。別の説では慈悲と善意。霊感。相談者が頼る人物
- 逆位置
- 社交、よい理解、調和、親切すぎること、弱さ
古い札では「教皇(Pope)」と呼ばれた札です。ウェイトはこれを外に向かって制度化された宗教の力とし、内に秘めた知を表す女教皇と対にしています。正位置に「結婚」と「隷属」が並ぶのは、約束や制度に入ることの両面を示すと読めます。
恋愛・仕事・金運・健康での「教皇」
結婚・婚約・家族の紹介など、社会的な承認を得る関係。
形式や周囲の期待にとらわれ、自分の本当の気持ちが見えにくくなる暗示です。常識より、二人にとって心地よい関係のかたちを話し合いましょう。
組織内での昇進・資格取得・伝統的な業界での成功。
慣習や上下関係に縛られ、窮屈さを感じやすい時期です。ルールの意味を理解した上で、改善できる点を提案してみるのも一つの方法です。
堅実な金融商品・保険・年金など、伝統的な運用が向く。
信頼できる専門家の助言を取り入れることを示すカードです。自己流にこだわらず、基本に忠実な生活習慣を続けることが安心につながります。
既存の知恵から学ぶ姿勢を持つ。師や書物から吸収する時期。
Yes — 正統な道や信頼できる助言を示すカードなので「Yes」と読みます。ただし前例や手順を守ることが条件になりやすいでしょう。
※健康に関する記述は占いとしての読み方です。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
「教皇」と組み合わせて読まれる札
黄金の夜明け団の対応
ライダー版の作者ウェイトと画家スミスがともに属した黄金の夜明け団は、大アルカナ22枚をヘブライ文字22字に当て、さらに元素・惑星・星座を割り当てました。教皇はヘブライ文字のヴァヴと牡牛座に対応し、団の文書「Book T」では「永遠なるものの魔術師」(The Magus of the Eternal)と呼ばれています。星座の性質は牡牛座の解説で読めます。
Book Tは巻末で各札の短い意味も挙げており、教皇は「神の知恵、顕現、説明、教え。自ら呼び出した秘められた力」とされています。同じ団の伝統でも、ウェイトの意味の一覧とは重なる語と違う語があります。
各桁を足すと5になる節制(14)と並べて読む人もいます(数秘術から借りた現代の読み方です)。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- Wikipedia(英語版)「Tarot card reading」 エテイヤ、レヴィ、黄金の夜明け団、ライダー版までの占いとしてのタロットの歴史と、大アルカナとヘブライ文字の対応表。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。