ソードの5
苦い勝利と対立
ライダー版の絵柄
見下すような顔の男が、肩を落として去っていく二人を見送っています。二人の剣は地面に落ち、男は左肩に二本を担ぎ、右手にもう一本を剣先を下にして持っています。戦場を手に入れた者の姿です。
絵柄から読むポイント
男は剣を三本手にして、肩を落として去っていく二人を見送っています。戦いには勝ったけれど、仲間を失った場面です。議論で相手を言い負かした、無理を通して得をした、といった状況に出たら、その勝ちが本当に必要だったかを問いかけます。原典では逆位置も同じ意味なので、逆さに出ても「和解」とは読みにくい札です。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。数の5の一般的な位置づけは「5 — 変化と試練」です。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
勝ったが失うものが多い・苦い対立・自己中心。
対立の終息・和解・過ちを認める。
正位置では、勝ち負けにこだわって人間関係を損なうおそれがある状態です。勝ってもその後に何が残るかを考えます。逆位置も原典では同じく「損失・不名誉」で、このサイトでは、争いの後味の悪さが長く残る状態と読みます。謝る、引く、といった選択がかえって立場を守ることもあります。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 失墜、破壊、取り消し、汚名、不名誉、損失。それらに類するもの
- 逆位置
- 同じ意味。埋葬と葬儀
- 補足の意味
- 正位置「相談者の財産への攻撃」/逆位置「悲しみと喪のしるし」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
原典では逆位置も「同じ意味」で、和解や回復には転じません。現代の解説で逆位置を「対立の終わり・和解」とするのは原典にはない読みで、逆位置を正位置の反対と考える後の習慣から生まれたものです。
テーマ別の読み方
正位置:口論の勝利・しかし関係を損なう・和解が必要。
逆位置:意地の張り合いをやめ、謝ったり歩み寄ったりできる状態です。勝ち負けより関係を大切にしましょう。
正位置:同僚との対立・勝ってもチームを失う。
逆位置:対立が収まり、過ちを認めて立て直せるときです。わだかまりを残さないよう丁寧に話し合いましょう。
目先の得を取りにいって信頼を失いやすい時期です。勝ち負けにこだわる取引は慎重に判断しましょう。
対立や緊張で神経が疲れやすいときです。争いから一度離れて心を休めましょう。
勝つことより関係を大切に。譲る勇気も。
No — 勝っても失うものが多い状況を表すため、否定寄りに読まれます。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、ソードの5には「敗北の主」(Lord of Defeat)という称号が与えられています。
Book Tがこの札に与えている意味は「決着がつき、本人の負けに終わった争い。失敗、敗北、不安、悪意、中傷」です。どの札もまわりの札との関係で強まったり弱まったりする、と同書は繰り返し断っています。
同じ文書では、2〜10の数札が黄道十二星座を10度ずつに分けた36の「デカン」に割り当てられています。ソードの5は水瓶座の第1デカンに当たり、そこを受け持つ天体は金星です。
組み合わせの一例
同じ数の札
ソードの14枚
ソードのスート全体の性格は小アルカナ一覧のソードの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。