カップの9
願いが叶う満足の時
ライダー版の絵柄
満ち足りるまで宴を楽しんだ人物が座り、後ろのアーチ形の台には酒杯がたっぷり並んでいます。ウェイトは「絵は物質的な面だけを示しているが、ほかの面もある」と書いています。
絵柄から読むポイント
満ち足りた様子の人物の後ろに、九つの杯がアーチ形の台にずらりと並んでいます。現代では「願いが叶う札」と呼ばれますが、原典の意味は「満足・体の健やかさ」です。欲しかったものが手に入り、ひとまず満足できる状態として読みます。満足のあとに何をしたいかまで考えておくと、この札の喜びが一時的なもので終わりません。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。数の9の一般的な位置づけは「9 — 成熟と最終段階」です。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
願いが叶う・満足と豊かさの時。
願いの遅延・過度な物質主義・空虚感。
正位置では、望んでいたことが叶い、心も体も満ち足りる時期です。手に入れたものを素直に楽しんでかまいません。逆位置では、満足が慢心や食べすぎ・飲みすぎに傾きやすい状態、あるいは手に入れたのに満たされない状態。原典の逆位置には「真実・忠誠・自由」もあり、表面の満足より本当に大切なものに気づく時期とも読めます。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 和合、満足、体の健やかさ。勝利、成功、有利。相談者(または占ってもらう人)の満足
- 逆位置
- 真実、忠誠、自由。ただし読みは分かれ、誤りや不完全さなども
- 補足の意味
- 正位置「軍人に吉」/逆位置「良い商売」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
現代では「願いが叶う札」と呼ばれることが多い一枚ですが、原典の中心は「満足・体の健やかさ」です。逆位置も「真実・忠誠・自由」と悪くない意味が並び、黄金の夜明け団の札名も「物質的な幸福の主」です。
テーマ別の読み方
正位置:満たされた愛・幸せな関係・願いが叶う。
逆位置:願いがすぐには叶わず、物足りなさを感じやすい状態です。外見や条件より心の満足を見つめ直しましょう。
正位置:目標達成・満足のいく結果・豊かさ。
逆位置:成果に満足して油断したり、期待ほどの結果が出なかったりしやすいときです。次の目標を見据えましょう。
望んでいたものが手に入りやすく、満足感の高い時期です。楽しんだ分だけ、感謝や分かち合いも意識しましょう。
心身ともに充実しやすいときです。ただし食べすぎや飲みすぎには気をつけましょう。
願いが叶ったことに感謝する。分かち合う。
Yes — 「願いが叶うカード」と呼ばれることもあり、はっきりとした肯定と読まれます。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、カップの9には「物質的な幸福の主」(Lord of Material Happiness)という称号が与えられています。
Book Tがこの札に与えている意味は「喜びと幸福のほぼ完全な実現。完全な成功、願いの成就。自慢やうぬぼれを伴うことも」です。どの札もまわりの札との関係で強まったり弱まったりする、と同書は繰り返し断っています。
同じ文書では、2〜10の数札が黄道十二星座を10度ずつに分けた36の「デカン」に割り当てられています。カップの9は魚座の第2デカンに当たり、そこを受け持つ天体は木星です。
組み合わせの一例
同じ数の札
カップの14枚
カップのスート全体の性格は小アルカナ一覧のカップの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。