カップのペイジ
感受性豊かな若者の伝令
ライダー版の絵柄
色白で愛らしい、やや女性的な小姓が、熱心な面持ちで、杯から顔を出した魚を見つめています。ウェイトはこれを「心の中の絵が形をとるところ」と説明しています。
絵柄から読むポイント
小姓が杯をのぞき込むと、中から魚が顔を出しています。ウェイトはこれを「心の中の絵が形をとる」場面と説明しています。思いがけないひらめき、素直な好意の告白、創作の始まりとして読みます。自分自身の姿として出たら、ふと浮かんだアイデアを「子どもっぽい」と捨てずに書き留めておくことが、この札の勧めです。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
新しい感情の芽生え・創造的なインスピレーション。
感情の未熟さ・気まぐれ・空想の中に閉じこもる。
正位置では、素直な好意やひらめきが芽生え、それを形にしてみたくなる時期です。やさしい知らせや告白が届くこともあります。逆位置では、空想にふけって現実の行動が伴わない、あるいは気まぐれな気持ちに振り回される状態。原典の逆位置「誘惑・欺き」のように、甘い言葉には少し距離を置きます。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 色白の若者。進んで尽くそうとし、相談者と関わることになる人。勉強好きの若者。知らせ、伝言。専念、熟考、瞑想。それらを仕事に向けること
- 逆位置
- 好み、傾き、愛着、誘惑、欺き、策略
- 補足の意味
- 正位置「吉兆。恋に恵まれない若者のことも」/逆位置「あらゆる種類の障害」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
「心の中の絵が形をとる」という説明が、現代の「創造的なひらめき・感情の芽生え」という読みの元になっています。逆位置の「誘惑・欺き」は、その想像が自分や相手を惑わす方向に働いた状態です。
テーマ別の読み方
正位置:初々しい愛・純粋な気持ち・告白の予兆。
逆位置:気持ちが不安定で、相手の言動に一喜一憂しやすい状態です。空想より、実際の言葉と行動を見ましょう。
正位置:新しいクリエイティブなアイデア・感性を活かす。
逆位置:アイデアはあっても形にできず、甘さが出やすいときです。小さく完成させる経験を重ねましょう。
感性を活かした小さな収入のきっかけが生まれやすい時期です。気分で使いすぎないよう、楽しみの予算を決めておきましょう。
感受性が高まり、気分に左右されやすいときです。好きな音楽や創作で心を整えましょう。
感情を素直に表現する。創造性を大切に。
Yes — うれしい知らせや好意の芽生えを表すため、やさしい肯定と読むのが一般的です。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、カップのペイジには「水の王女、大水の宮殿の蓮」(The Princess of the Waters: the Lotus of the Palace of the Floods)という称号が与えられています。
黄金の夜明け団はコートカードの呼び名を独自に組み替えており、ライダー版の名前とは対応がずれます(騎馬の「ナイト」が王、「キング」が王子、「ペイジ」が王女に当たります)。ライダー版の絵はこの組み替えを採らず、伝統的なキング・クイーン・ナイト・ペイジのままです。
組み合わせの一例
同じ人物の札
カップの14枚
カップのスート全体の性格は小アルカナ一覧のカップの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。