カップの7
選択肢と幻想
ライダー版の絵柄
幻のような不思議な杯がいくつも並んでいます。ウェイトは、杯の中の像はとくに「空想の精」が生んだものだと書いています。
絵柄から読むポイント
七つの不思議な杯が並び、それぞれに別々の幻が入っています。選択肢がたくさん見えているけれど、どれも想像の中にある段階の札です。原典も「永続的で確かなものは示されない」としています。この札が出たら、候補を一つずつ「明日できる具体的な行動」に置き換えてみると、本物と幻の区別がつきやすくなります。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。数の7の一般的な位置づけは「7 — 内省と見極め」です。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
多くの選択肢・幻想と現実の見極めが必要。
現実に目覚める・幻想の崩壊・明確な選択。
正位置では、可能性がたくさん見えて心が躍る一方、どれも空想の段階にある状態です。決める前に現実の条件を調べます。逆位置では、幻から覚めて選択肢がしぼられ、決意が固まる状態。原典の逆位置も「欲求・意志・決意・計画」で、迷いの末に一つを選べる時期と読みます。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 妖精の恵み、思いの映し出す像、感傷、想像、観想の鏡に映るもの。その段階での何らかの達成はあるが、永続的で確かなものは示されない
- 逆位置
- 欲求、意志、決意、計画
- 補足の意味
- 正位置「色白の子ども。考え、構想、決意、動き」/逆位置「カップの3を伴えば成功」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
正位置の「確かなものは何もない」と、逆位置の「決意・計画」が対になっています。現代の「幻想から目覚めて選ぶ」という逆位置の読みは原典に近く、黄金の夜明け団の札名「幻の成功の主」とも重なります。
テーマ別の読み方
正位置:多くの誘惑・幻想的な愛・見極めが必要。
逆位置:理想化していた相手の実像が見え、気持ちを整理できる状態です。現実的な判断ができるようになります。
正位置:多くの選択肢・非現実的なプラン・見極めが必要。
逆位置:迷いが晴れ、取り組むべき選択肢が絞れてくるときです。一つに集中すると成果につながります。
うまい話や理想的すぎる計画に心を奪われやすい時期です。条件を書き出して現実的に比べましょう。
考えが散らかり、気持ちが落ち着きにくいときです。情報から離れて頭を休める時間をつくりましょう。
夢と現実を区別する。地に足をつける。
どちらとも言えない — 選択肢と幻想が入り混じる状態を表すため、見極めてから判断すべきと読みます。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、カップの7には「幻の成功の主」(Lord of Illusionary Success)という称号が与えられています。
Book Tがこの札に与えている意味は「勝てそうなのに怠りで打ち消される。見かけの勝利の瞬間の欺き。嘘、果たされない約束、幻」です。どの札もまわりの札との関係で強まったり弱まったりする、と同書は繰り返し断っています。
同じ文書では、2〜10の数札が黄道十二星座を10度ずつに分けた36の「デカン」に割り当てられています。カップの7は蠍座の第3デカンに当たり、そこを受け持つ天体は金星です。
組み合わせの一例
同じ数の札
カップの14枚
カップのスート全体の性格は小アルカナ一覧のカップの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。