月— The Moon
潜在意識の闇と幻想
ライダー版の絵柄
月は見る人の右側(ウェイトのいう慈悲の側)で満ちていき、十六本の主な光と十六本の細い光を放っています。二つの塔のあいだに道が延び、犬と狼が月に向かい、手前の水の淵からは得体の知れない生き物が這い上がろうとしています。月からは露が落ちています。
月は満月の光の下、犬と狼が吠える不安な風景を象徴。幻想・不安・潜在意識の暗い側面を示します。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
不安や混乱の時期・幻想と現実の境界が曖昧・直感が冴えるが不安定。
混乱が晴れる時期・真実が明らかになる・不安が解消される。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 隠れた敵、危険、中傷、暗闇、恐怖、欺き、隠れた力、誤り
- 逆位置
- 不安定、移り気、沈黙、程度の軽い欺きと誤り
ウェイトは、犬と狼を「出口を前にした自然な心の恐れ」と説明し、月の光を「照り返しの光」としています。現代の「不安・あいまいさ」の読みはこの解説とよく合います。逆位置は欺きや誤りの「程度が軽いもの」とされ、正位置より穏やかに読まれています。
恋愛・仕事・金運・健康での「月」
相手の本音が見えない不安な時期・浮気や隠し事の可能性。
誤解や不安が少しずつ晴れ、相手の本当の気持ちが見えてくる暗示です。隠していたことを話し合うことで、関係が落ち着きやすくなります。
情報が錯綜する時期・重要な判断は避ける・直感を大切に。
あいまいだった状況がはっきりし始める時期です。見えてきた情報をもとに、慎重に次の判断をしていきましょう。
詐欺や誤情報に注意・慎重な運用が必要。
気持ちの揺らぎや睡眠の乱れに気を配るよう促すカードです。不安を感じたら一人で抱えず、体調の変化は早めに専門家に相談しましょう。
不安に飲まれず、直感を信じる。真実は時と共に明らかになる。
No — 不確かさや迷いを示すため「No」または「まだ判断できない」と読みます。情報がそろうまで決断を待つのが賢明です。
※健康に関する記述は占いとしての読み方です。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
「月」と組み合わせて読まれる札
黄金の夜明け団の対応
ライダー版の作者ウェイトと画家スミスがともに属した黄金の夜明け団は、大アルカナ22枚をヘブライ文字22字に当て、さらに元素・惑星・星座を割り当てました。月はヘブライ文字のコフと魚座に対応し、団の文書「Book T」では「満ち引きの支配者、力ある者の子らの子」(The Ruler of Flux and Reflux: the Child of the Sons of the Mighty)と呼ばれています。星座の性質は魚座の解説で読めます。
Book Tは巻末で各札の短い意味も挙げており、月は「不満、自ら選ぶ変化。誤り、嘘、偽り、欺き。周りの札にとても左右される」とされています。同じ団の伝統でも、ウェイトの意味の一覧とは重なる語と違う語があります。
番号の18は各桁を足すと9になり、9番「隠者」と組にして読む人もいます(数秘術から借りた現代の読み方です)。同じ数になる札には隠者があります。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- Wikipedia(英語版)「Tarot card reading」 エテイヤ、レヴィ、黄金の夜明け団、ライダー版までの占いとしてのタロットの歴史と、大アルカナとヘブライ文字の対応表。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。