カップのキング
感情を制御する成熟した王
ライダー版の絵柄
左手に短い笏、右手に大きな杯を持つ王。玉座は海の上に置かれ、一方には船が浮かび、もう一方ではイルカが跳ねています。
絵柄から読むポイント
王の玉座は海の上にあり、片側には船が、もう片側には跳ねるイルカが描かれています。感情の波の上で落ち着いて座っている人物です。原典では実業家・法律家・聖職者など、責任ある立場で人を助ける男性とされています。相談相手として頼れる年上の人、あるいは自分が感情に飲まれず判断すべき場面として読みます。
絵柄の説明は、この札を描かせたA. E. ウェイトの解説書『The Pictorial Key to the Tarot』(1910年)の記述をもとにしています。
正位置・逆位置の読み方
このサイトの現代的な読み方
感情の成熟・共感的なリーダー・穏やかな知恵。
感情の抑圧・冷たい態度・共感の欠如。
正位置では、感情の波があっても落ち着いて判断し、周りを支えられる人物です。頼れる相談相手や、公正な立場の人として読みます。逆位置では、気持ちを押し殺しすぎて冷たく見える、あるいは原典の逆位置「二枚舌」のように、穏やかな顔の裏で別の考えを持つ人を表します。相手の言葉と行動が一致しているかを見ます。
ウェイト(1910年)が挙げた占いの意味(和訳)
- 正位置
- 色白の男性。実業家、法律家、聖職者。責任感があり、相談者に親切。公正、芸術と学問(その専門家も含む)、創造的な知性
- 逆位置
- 不誠実で二枚舌の男。ごろつき、ゆすり、不正、悪徳、醜聞、略奪、大きな損失
- 補足の意味
- 正位置「地位のある男の悪意と、助けるふりをした偽善に注意」/逆位置「損失」(同書の巻末「小アルカナの追加の意味」より)
本文の正位置は頼れる人物なのに、巻末の補足では「地位のある男の悪意に注意」と正反対になっています。荒れる海の上で落ち着いている王の図は、現代の「感情を治める成熟」という読みによく合います。
テーマ別の読み方
正位置:感情豊かで成熟した男性・共感的なパートナー。
逆位置:本音を隠して冷静を装い、距離が生まれやすい状態です。弱さも含めて気持ちを伝えてみましょう。
正位置:共感的なリーダー・カウンセラー・調停者。
逆位置:感情を抑え込んだ結果、周囲との温度差が生まれやすいときです。共感を言葉にして示しましょう。
感情に流されず落ち着いて判断できる時期です。人間関係を大切にした使い方が信頼につながります。
心の安定が体調にもよい影響を与えやすいときです。気持ちを溜め込まず、信頼できる人と話しましょう。
感情を制御しつつ豊かに。冷静さと温かさの両立。
Yes — 感情の成熟と穏やかな包容力を表すため、肯定的に読まれます。
※健康面の読み方は占いとしての目安です。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。
黄金の夜明け団での称号と対応
19世紀末のイギリスの魔術結社・黄金の夜明け団は、タロットの各札に称号を付けていました。その文書(通称「Book T」)は1912年に雑誌『The Equinox』で公にされ、カップのキングには「水の戦車の王子」(The Prince of the Chariot of the Waters)という称号が与えられています。
黄金の夜明け団はコートカードの呼び名を独自に組み替えており、ライダー版の名前とは対応がずれます(騎馬の「ナイト」が王、「キング」が王子、「ペイジ」が王女に当たります)。ライダー版の絵はこの組み替えを採らず、伝統的なキング・クイーン・ナイト・ペイジのままです。
組み合わせの一例
同じ人物の札
カップの14枚
カップのスート全体の性格は小アルカナ一覧のカップの項で説明しています。実際に一枚引いてみるならタロット占いをどうぞ。
参考資料
- A. E. Waite(絵 Pamela Colman Smith)/Wikisource「The Pictorial Key to the Tarot」 ライダー版(ウェイト=スミス版)の作者自身による解説書(1910年)。絵柄の説明と、正位置・逆位置の占いの意味の和訳に使っています。
- 黄金の夜明け団「Book T」/Aleister Crowley Timeline(スキャンPDF)「A Description of the Cards of the Tarot(The Equinox Vol. I No. 8, 1912)」 黄金の夜明け団のタロット文書を初めて公にしたもの。各札の称号(「〜の主」など)、数札とデカンの対応表、札ごとの短い意味を訳して使っています。