セイズルとは
読み: せいずる
意味
セイズ(セイズル、古ノルド語 seiðr)は、ヴァイキング時代前後のスカンジナビアで行われていたとされる、予言や魔術に関わる儀礼的な実践です。主に女性の実践者ヴォルヴァが担ったと伝えられます。
セイズは「せいず」「せいずる」などと読みます。古アイスランド語で書かれたサガやエッダ詩に、未来を語ったり、人の心や運命に働きかけたりする術として登場します。
当時の人々自身が書き残した記録はほとんどなく、主な手がかりは、キリスト教化の後の13世紀ごろにアイスランドで書かれた文献と考古学の資料です。そのため、実際にどのような儀礼だったかには研究者のあいだでも多くの議論があります。
語源
古ノルド語 seiðr。語の原義ははっきりせず、「ひも・縄」に関わる語とする説などがあります
文献に残るセイズ
最もよく引用されるのが『赤毛のエイリークのサガ』の一場面です。グリーンランドの飢饉のさなか、ある農場に女預言者ソルビョルグが招かれます。彼女は高い座に座り、女性たちが歌う呪歌(ヴァルズロクル)を聴いたのち、飢饉がまもなく終わることや人々の行く末を語ったとされます。衣装や食事まで細かく描かれ、セイズの具体的な姿を伝える貴重な描写とされています。
神話では、女神フレイヤがセイズを神々に伝え、主神オーディンもそれを身につけたと語られます。一方で、男性がセイズを行うことは不名誉とされたという記述もあり、当時の性別観との関わりが研究の論点になっています。
研究で分かっていること
考古学者ニール・プライスは『The Viking Way』(2002年)で、文献と墓の出土品を照らし合わせ、セイズを北方のシャーマニズム的な伝統と結び付けて論じました。杖などを副葬された女性の墓が、ヴォルヴァのような実践者のものではないかと考えられている例もあります。ただし、ある墓を実践者のものと確定するのは難しく、慎重な解釈が求められます。
現代での扱い
20世紀後半以降、北欧の古い神々を信仰する現代の宗教運動(ヒーゼンリー、アーサトルーなど)のなかで、文献をもとにセイズを再構成して実践する人々がいます。こうした実践は古代の儀礼をそのまま伝えたものではなく、資料と現代の解釈をもとに築かれた現代の宗教的実践といえます。
よくある誤解
セイズはルーン占いと同じものと思われがちですが、文献の上では別のものです。ルーンは文字体系であり、それを使って占う方法は主に近現代に整えられたものとされます。また、セイズの儀礼の細部は不明な点が多く、「古代そのままのやり方」をうたう説明には注意が必要です。
よくある質問
- Q. セイズとセイズルは違うものですか?
- A. 同じ古ノルド語 seiðr のカナ表記の違いです。「セイズ」「セイズル」「セイド」などの表記が使われています。
- Q. ヴォルヴァとセイズの関係は?
- A. ヴォルヴァは杖を持つ女預言者を指す言葉で、文献ではセイズを行う代表的な人物として描かれます。セイズが実践の名前、ヴォルヴァがそれを担う人の呼び名と考えると分かりやすいでしょう。
- Q. セイズで実際に何を占ったのですか?
- A. サガでは、飢饉がいつ終わるか、人々の将来や結婚などについて語る場面が描かれています。ただし、これらは後世に書かれた物語で、実際の儀礼をどこまで正確に伝えているかは分かっていません。
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参考文献
- 『The Viking Way』 (2002)