ᚨAnsuz (オス)
神(アース神族)、口、言葉
a のルーン。名前の *ansuz はゲルマンの主神たち(アース神族)を指す語で、アイスランドの詩ははっきりとオーディンの呼び名を並べています。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *ansuz 「神(アース神族の一柱)」
- 音
- /a/
- 英国のフソルク
- ᚩ ōs(口(もとは「神」))
- 北欧のヤンガー・フサルク
- ᚬ óss(神・河口)
- ゴート文字の名
- ahsa / aza
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
名は詩によって姿を変えます。古英語の詩は ōs をラテン語の os(口)に寄せて「言葉の源」と詠み、ノルウェーの詩は同じ音の óss(河口)として詠みます。ただし古英語の詩も口の形ではなく「言葉の源」「知恵の柱」を語っており、もとの「神(ウォーデン/オーディン)」の意味が透けて見えるとされます。
英国のフソルクでは母音の変化に合わせて a のルーンが3つに分かれ、ōs ᚩ(o)、āc ᚪ「オーク」(a)、æsc ᚫ「トネリコ」(æ)になりました。北欧のヤンガー・フサルクでは ᚬ(óss)が鼻母音 ą などを表します。ゴート文字の a の名は ahsa / aza と記録されており、これを根拠に *ahsam「(麦の)穂」を本来の名とする見方もあります。
ルーン詩に詠まれたAnsuz
口はあらゆる言葉の源、知恵の柱、賢者の慰め。すべての戦士にとって恵みであり希望である。
Ós bẏþ ordfruma ælcre spræce, / wisdomes wraþu and witena frofur, / and eorla gehwam eadnẏs and tohiht.
河口は多くの旅の通り道。鞘が剣の通り道であるように。
Óss er flæstra færða / fǫr; en skalpr er sværða.
神(アース)——いにしえのガウト(オーディンの呼び名)、アースガルズの君主、ヴァルハラの主。
Óss er aldingautr / ok ásgarðs jöfurr / ok valhallar vísi.
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
古英語詩の「言葉の源」と、アイスランドの詩のオーディン(知恵の神)から、知らせ・助言・対話・学びを表します。人の話や文章の中に、いま必要な手がかりがあると読むルーンです。
逆位置
聞き違い、言葉足らず、うわさや当てにならない助言。伝えたつもりのことを、もう一度言葉にして確かめます。
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フレイのアエットの4番目
同じ組のルーン: ᚠ Fehu・ᚢ Uruz・ᚦ Thurisaz・ᚱ Raidho・ᚲ Kenaz・ᚷ Gebo・ᚹ Wunjo
よくある質問
Ansuzの名前の意味はどこまで確かですか?
*ansuz「神」が通説ですが、ゴート文字の名からは *ahsam「穂」という別案も出ており、確定ではありません。
Ansuzに逆位置はありますか?
現代のルーン占いでは、上下が逆に出たときに意味を弱めたり反転させたりして読みます。ただし、この区別は20世紀後半に広まった手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Ansuz (rune)」 Ansuz の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。