ᚢUruz (ウル)
野牛(オーロックス)、または霧雨
3つのルーン詩すべてで ur と呼ばれながら、詩ごとに意味が違う珍しいルーンです。英国では角の大きな野牛、アイスランドでは霧雨、ノルウェーでは鉄くず(鉱滓)として詠まれています。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *ūruz(または *ūrą) 「野牛(オーロックス)、または「水・霧雨」」
- 音
- /u/
- 英国のフソルク
- ᚢ ūr(野牛)
- 北欧のヤンガー・フサルク
- ᚢ úr(霧雨・鉱滓)
- ゴート文字の名
- urus
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
名前の意味がばらばらなため、古ゲルマン語の名は確定していません。最古の古英語詩と、8世紀のアルクィンが記録したゴート文字名(urus / uraz)を重く見れば *ūruz「野牛」、アイスランドの詩を重く見れば *ūrą「水・霧雨」になります。両者がもとは同じ語根から出た可能性も指摘されています。
オーロックスはヨーロッパの森にいた大型の野生の牛です。字形は北イタリアのラエティア文字のウプシロンに由来すると考えられ、のちにゴート文字の u(𐌿)はこのルーンの形を借りています。英国のフソルクでは、くぼみに縦線を加えた ᚣ(ȳr、y の音)が派生しました。
ルーン詩に詠まれたUruz
野牛は勇猛で、大きな角を持つ。角で戦うきわめて獰猛な獣で、荒野をのし歩く気概ある生き物だ。
Ur bẏþ anmod ond oferhẏrned, / felafrecne deor, feohteþ mid hornum, / mære morstapa; þæt is modig ƿuht.
鉱滓は質の悪い鉄から出る。トナカイはしばしば凍った雪の上を駆ける。
Úr er af illu járne; / opt løypr ræinn á hjarne.
霧雨——雲の嘆き、干し草の刈り入れの台無し、羊飼いの憎むもの。
Úr er skýja grátr / ok skára þverrir / ok hirðis hatr.
ノルウェーの詩の後半に出るトナカイの足跡は、ᚢ の形そのものを思わせると解されることがあります。
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
現代の占いでは野牛の読みを採り、飼いならされない力、体力、まだ手のつけられていない物事に挑む勢いを表します。荒野を歩き回る獣の姿のように、自分の足で取りに行く場面に向くルーンです。
逆位置
力の空回り、無理のしすぎ、体調の乱れ。アイスランドの詩の「霧雨」のように、気分が湿りがちで段取りが流れる日とも読めます。
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フレイのアエットの2番目
同じ組のルーン: ᚠ Fehu・ᚦ Thurisaz・ᚨ Ansuz・ᚱ Raidho・ᚲ Kenaz・ᚷ Gebo・ᚹ Wunjo
よくある質問
Uruzの名前の意味はどこまで確かですか?
確かではありません。「野牛」説が有力ですが、北欧の詩は「霧雨」の意味で詠んでおり、*ūrą「水」とする復元もあります。現代のルーン占いの本は、ほぼ「野牛」の意味を採っています。
Uruzに逆位置はありますか?
現代のルーン占いでは、上下が逆に出たときに意味を弱めたり反転させたりして読みます。ただし、この区別は20世紀後半に広まった手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Ur (rune)」 Uruz の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。