RUNE · 03 · Aett 1

ᚦThurisaz (ソーン)

巨人(北欧)、茨(英国)

転写Th アエット第1・3番目 ルーン詩3篇

th の音を表すルーン。北欧では「巨人(スルス)」、英国では「茨(ソーン)」と呼ばれました。古英語やアイスランド語のアルファベットに残った文字 þ(ソーン)は、このルーンから来ています。

名前・音・のちの文字

復元名(推定)
*þurisaz 「巨人」
音
/θ/(英語 thing の th)
英国のフソルク
ᚦ þorn(茨)
北欧のヤンガー・フサルク
ᚦ þurs(巨人)

「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。

古英語のルーン名のうち、北欧の名とまったく対応しないのはこの þorn だけです。「茨」を「巨人」の言い換えと見る説明も試みられていますが、決め手はありません。ゴート文字の対応する文字の名は thyth(「善いもの」と解される語)で、こちらもまた別の語です。

そのため古ゲルマン語の名は、北欧の þurs を前提に *þurisaz と復元されています(古英語 þyrs「巨人」、古高ドイツ語 duris と同系)。最初期のヴィモーセ出土品には見られず、紀元200年ごろのトルスベリの鞘飾りに現れます。字形はラテン文字 D、またはラエティア文字の Θ に由来するという説があります。

ルーン詩に詠まれたThurisaz

古英語ルーン詩8〜9世紀成立・ᚦ þorn

茨はきわめて鋭い。どの戦士にとってもつかめば災いとなり、その中に身を置く者には誰であれ、ひどく手厳しい。

Ðorn bẏþ ðearle scearp; / ðegna gehƿẏlcum anfeng ẏs ẏfẏl, / ungemetum reþe manna gehƿẏlcun, / ðe him mid resteð.

古ノルウェー語ルーン詩13世紀(17世紀の写しで伝存)・ᚦ þurs

巨人は女たちに苦しみをもたらす。不運を喜ぶ者は少ない。

Þurs vældr kvinna kvillu, / kátr værðr fár af illu.

古アイスランド語ルーン詩1500年ごろの写本・ᚦ þurs

巨人——女たちの責め苦、岩崖に住む者、巨人女の夫。

Þurs er kvenna kvöl / ok kletta búi / ok varðrúnar verr.

アイスランドの詩には「サトゥルヌスの家臣」というラテン語の添え書きがあり、ローマの神を北欧の巨人に重ねたものと見られます。

訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。

現代のルーン占いでの読み方

ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。

とげ抵抗境界線警戒

正位置

茨のとげと巨人の荒々しさから、行く手に立ちはだかる障害や強い反発、そして身を守るための境界線を表します。無理に素手でつかまず、どこに触れると痛いのかを確かめてから進むよう促すルーンとして読まれます。

逆位置

不用意に触れて傷つく、売り言葉に買い言葉、衝動的な反撃。とげを自分が相手に向けていないかも点検します。

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よくある質問

Thurisazの名前の意味はどこまで確かですか?

確度は中くらいです。北欧は「巨人」、英国は「茨」、ゴート文字は別の語と食い違っており、*þurisaz は北欧の名がもとの形を残しているという前提での復元です。

Thurisazに逆位置はありますか?

現代のルーン占いでは、上下が逆に出たときに意味を弱めたり反転させたりして読みます。ただし、この区別は20世紀後半に広まった手法で、古い史料には見られません。

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参考資料