ᛉAlgiz (エオール)
ヘラジカ/スゲ(本来の名は不明)
語末の z の音を表すルーン。この音は語頭に来ないため、ほかの文字のように頭の音で名づけることができず、本来の名前は伝わっていません。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *algiz(不確か) 「ヘラジカ(または「守り」とする説)」
- 音
- /z/(語末のみ。北欧では r に近い音へ)
- 英国のフソルク
- ᛉ eolh(x)(ヘラジカ・スゲ)
- 北欧のヤンガー・フサルク
- ᛦ ýr(イチイ(名は ᛇ から))
- ゴート文字の名
- ezec
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
z は男性名詞の語尾 -z にあたるため初期の碑文によく現れ、ガレフスの黄金の角杯(5世紀初め)の人名 hlewagastiz にも使われています。「ヘラジカ(elk)」という通称は、古英語の詩の eolhx-secg を「ヘラジカのスゲ」と読んだヴィルヘルム・グリム(1821年)に由来し、本来の名ではないという見方が広く共有されています。「守り・防御」を意味する *algiz とする説もあります。
北欧ではこの音が r に近い音(ʀ)に変わり、ヤンガー・フサルクでは上下を逆にした形 ᛦ で書かれました(11〜12世紀に r と合流)。英国では音を失い、ラテン文字の x の代わりに使われることがありました。20世紀にはドイツの神秘主義で「生命のルーン」と呼ばれ、ナチスの徽章にも使われた歴史があるため、現在でも使われ方の文脈に注意が向けられる記号です。
ルーン詩に詠まれたAlgiz
エオルフ・スゲはたいてい沼地に生え、水の中で育つ。ひどい傷を負わせ、つかもうとする戦士を誰であれ血にまみれさせる。
[Eolhx]secg eard hæfþ oftust on fenne, / ƿexeð on ƿature, ƿundaþ grimme, / blode breneð beorna gehƿẏlcne / ðe him ænigne onfeng gedeþ.
北欧の2詩にある ᛦ(ýr)の節は、名前がイチイに替わっているため Eihwaz の項で紹介しています。
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
現代の占いで定着した「守護」の意味は、1982年のラルフ・ブラムの解釈に沿ったものです。古英語詩の、つかもうとする者を傷つけるスゲの姿と重ねれば、自分や大切な人を守るための警戒心、手を出す前に立ち止まる直感を表すルーンと読めます。
逆位置
無防備になる、あるいは逆に警戒しすぎて人を遠ざける。守るべき線がどこにあるのかを確かめ直します。
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仕事
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ハガルのアエットの7番目
同じ組のルーン: ᚺ Hagalaz・ᚾ Nauthiz・ᛁ Isa・ᛃ Jera・ᛇ Eihwaz・ᛈ Perthro・ᛊ Sowilo
よくある質問
Algizの名前の意味はどこまで確かですか?
本来の名は分かっていません。「ヘラジカ」は19世紀の読みに基づく通称で、ほかに「守り」「スゲ」などの説があります。
Algizに逆位置はありますか?
現代のルーン占いでは、上下が逆に出たときに意味を弱めたり反転させたりして読みます。ただし、この区別は20世紀後半に広まった手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Algiz」 Algiz の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。