RUNE · 10 · Aett 2

ᚾNauthiz (ナウド)

必要、窮乏、束縛

転写N アエット第2・2番目 ルーン詩3篇

n のルーン。名前は「必要・苦難」(英語の need と同系)。エッダ詩の中で、具体的に刻む場所まで語られているルーンでもあります。

名前・音・のちの文字

復元名(推定)
*naudiz 「必要・苦難」
音
/n/
英国のフソルク
ᚾ nyd(窮乏・苦難)
北欧のヤンガー・フサルク
ᚾ nauðr(束縛・窮乏)
ゴート文字の名
nauþs

「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。

古英語 nyd、古ノルド語 nauðr、ゴート文字の nauþs と、名前はよく一致します。字形は独自の考案か、ラエティア文字の N に由来するとされます。

『古エッダ』の『シグルドリーヴァの歌』では、ワルキューレのシグルドリーヴァがシグルズに「ビールのルーン」を教え、角杯と手の甲に刻み、爪にはこの ᚾ を刻むよう語ります。ルーンが文字であると同時にまじないの印としても語られていたことを示す一節です。

ルーン詩に詠まれたNauthiz

古英語ルーン詩8〜9世紀成立・ᚾ nyd

窮乏は胸を締めつける。だが早いうちにそれに耳を傾ける者には、しばしば助けと救いになる。

Nẏd bẏþ nearu on breostan; / ƿeorþeþ hi þeah oft niþa bearnum / to helpe and to hæle gehƿæþre, / gif hi his hlẏstaþ æror.

古ノルウェー語ルーン詩13世紀(17世紀の写しで伝存)・ᚾ nauðr

束縛は選ぶ余地をほとんど残さない。裸の者は霜に凍える。

Nauðr gerer næppa koste; / nøktan kælr í froste.

古アイスランド語ルーン詩1500年ごろの写本・ᚾ nauðr

束縛——下女の嘆き、虐げられた境遇、つらい労働。

Nauð er Þýjar þrá / ok þungr kostr / ok vássamlig verk.

訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。

現代のルーン占いでの読み方

ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。

不足制約早めの対処工夫

正位置

足りないもの、思うように選べない状況を表します。古英語詩の「早いうちに耳を傾ければ助けになる」という一節から、不足を早く認めて手を打てば、それが立て直しのきっかけになると読みます。

注意すべき面(逆位置なし)

上下を返しても同じ形なので逆位置はありません。注意すべき面は、ノルウェーの詩の「選ぶ余地がない」状態。我慢を重ねて追い詰められた選択をしていないかを確かめます。

恋愛

満たされない思いを抱えやすい時期。我慢を続けるより、何が足りないのかを早めに言葉にするほうが関係を守ります。

仕事

予算・人手・時間の不足。優先順位をつけ直し、助けを求めるのを先延ばしにしないことが鍵です。

ハガルのアエットの2番目

同じ組のルーン: ᚺ Hagalaz・ᛁ Isa・ᛃ Jera・ᛇ Eihwaz・ᛈ Perthro・ᛉ Algiz・ᛊ Sowilo

よくある質問

Nauthizの名前の意味はどこまで確かですか?

確度は高いほうです。3つの詩とゴート文字の nauþs が「必要・苦難」でそろいます。

Nauthizに逆位置はありますか?

ᚾは180度回しても同じ形なので、逆位置として読み分けることはできません。そもそも正位置・逆位置の区別は現代の占いの手法で、古い史料には見られません。

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参考資料