RUNE · 13 · Aett 2

ᛇEihwaz (ユル)

イチイの木

転写ï アエット第2・5番目 ルーン詩3篇

イチイを名に持つルーン。何の音を表していたのかがはっきりしない、24文字の中でもとりわけ謎の多い文字です。

名前・音・のちの文字

復元名(推定)
*īhwaz / *īwaz 「イチイ(常緑の針葉樹)」
音
不明(前舌母音。/æː/、/ɨ/ などの説)
英国のフソルク
ᛇ ēoh(イチイ)
北欧のヤンガー・フサルク
なし(16文字への整理で廃止)

「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。

古ゲルマン語では *īhaz と *īwaz の2形が復元され、よく見る綴り Eihwaz はその両方を混ぜたものです(英語の yew は *īwaz の系統)。音価については /æː/、/ɨ/、/ç/ などの説が並び、転写には慣例で ï が使われます。175〜400年ごろの最初期の碑文には現れず、キュルヴェル石の文字列が最初の確かな例です。

ヤンガー・フサルクにはこの字形は残りませんでしたが、「イチイ」という名は ᛦ(ýr)に引き継がれました。ᛦ は形と音を ᛉ(Algiz)から受け継ぎ、名前だけをこのルーンからもらった文字です。そのためノルウェーとアイスランドの詩の「イチイ」の節は、形の上では別のルーンについて詠んだものです。

ルーン詩に詠まれたEihwaz

古英語ルーン詩8〜9世紀成立・ᛇ ēoh

イチイは樹皮の粗い木。大地にしっかりと固く立ち、根に支えられ、炎の守り手であり、領地の喜びである。

Eoh bẏþ utan unsmeþe treoƿ, / heard hrusan fæst, hẏrde fẏres, / ƿẏrtrumun underƿreþẏd, ƿẏn on eþle.

古ノルウェー語ルーン詩13世紀(17世紀の写しで伝存)・ᛦ ýr

イチイは冬に最も青々とした木。燃やすとぱちぱちと音を立てる。

古アイスランド語ルーン詩1500年ごろの写本・ᛦ ýr

イチイ——張った弓、もろい鉄、矢の巨人。

Ýr er bendr bogi / ok brotgjarnt járn / ok fífu fárbauti.

北欧の2詩の節は、イチイの名を受け継いだヤンガー・フサルクの ᛦ についてのものです。アイスランドの詩の「張った弓」は、イチイが弓の材だったことと結びつきます。

訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。

現代のルーン占いでの読み方

ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。

粘り強さ根を張る冬を越す守り

正位置

古英語詩の「根に支えられ大地に固く立つ」イチイと、北欧の詩の「冬に最も青々とした木」から、厳しい時期にも変わらない芯の強さ、長く続けることで得られる安定を表します。

注意すべき面(逆位置なし)

上下を返しても同じ形なので逆位置はありません。注意すべき面は、アイスランドの詩の「張った弓」「もろい鉄」。張りつめすぎた状態や、柔軟さを失った頑固さを示します。

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ハガルのアエットの5番目

同じ組のルーン: ᚺ Hagalaz・ᚾ Nauthiz・ᛁ Isa・ᛃ Jera・ᛈ Perthro・ᛉ Algiz・ᛊ Sowilo

よくある質問

Eihwazの名前の意味はどこまで確かですか?

「イチイ」という意味はかなり確かですが、2つの語形が並ぶうえ、表していた音は分かっていません。

Eihwazに逆位置はありますか?

ᛇは180度回しても同じ形なので、逆位置として読み分けることはできません。そもそも正位置・逆位置の区別は現代の占いの手法で、古い史料には見られません。

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参考資料