ᛈPerthro (ペオース)
意味不明の名(遊び・くじの器という説)
p のルーン。名前は古英語の peorð しか伝わらず、その語の意味も分かっていません。古英語の詩が「遊びと笑い」と詠んでいることが、ほとんど唯一の手がかりです。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *perþō(不確か) 「不明(果樹・梨の木などの説)」
- 音
- /p/
- 英国のフソルク
- ᛈ peorð(意味不明)
- 北欧のヤンガー・フサルク
- なし(16文字への整理で廃止)
- ゴート文字の名
- pertra
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
古英語に peorð に似た語は見当たらず、ゴート文字の p の名 pertra との関係が考えられる程度です。そこから音の上で *perþō などが復元され、「梨の木(果樹)」とする説や、詩の内容から「梨材で作った楽器や遊戯盤・駒」とする推測がありますが、どれも確証はありません。
古ゲルマン語では /p/ の音自体がまれで、このルーンの最初の確かな例はキュルヴェル石の文字列です。単語の中で使われた例は700年ごろの英国の硬貨(人名 pada など)が早い例になります。北欧ではヤンガー・フサルクで廃止され、p は b のルーン ᛒ で書かれました。
ルーン詩に詠まれたPerthro
ペオルズは、宴の広間で戦士たちが楽しく集うところで、身分ある者たちにとって常に遊びと笑いとなる。
Peorð bẏþ sẏmble plega and hlehter / ƿlancum [on middum], ðar ƿigan sittaþ / on beorsele bliþe ætsomne.
この詩を伝えた唯一の写本は1731年の火災で失われ、1705年に刊行された写しだけが残っています。写しには誤りもあると見られ、ペオルズの節の読みもその制約を受けます。
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
現代の占いでは、古英語詩の「宴の広間の遊びと笑い」から、くじや賭けごとのような偶然、思いがけない展開、まだ明かされていない事情を表すとされます。計画外の出来事を楽しめる余裕がテーマです。
逆位置
賭けに出すぎる、運任せで準備を怠る、抱えた秘密が重荷になる。偶然に委ねる範囲と、自分で決める範囲を分けて考えます。
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ハガルのアエットの6番目
同じ組のルーン: ᚺ Hagalaz・ᚾ Nauthiz・ᛁ Isa・ᛃ Jera・ᛇ Eihwaz・ᛉ Algiz・ᛊ Sowilo
よくある質問
Perthroの名前の意味はどこまで確かですか?
名前の意味は分かっていません。現代の本でよく見る「くじを振る器」「運命」は、古英語詩の「遊び」から広げた解釈で、名前そのものから確かめられたものではありません。
Perthroに逆位置はありますか?
現代のルーン占いでは、上下が逆に出たときに意味を弱めたり反転させたりして読みます。ただし、この区別は20世紀後半に広まった手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Peorð」 Perthro の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。
- Wikipedia(英語版)「Kylver Stone」 24文字を順に並べた最古の例(400年ごろ、ゴットランド島)。1903年の発見と、末尾の木の形の記号。