ᚺHagalaz (ハガル)
雹
h のルーンで、第2の8文字の先頭。3つのルーン詩がそろって雹を「穀物」にたとえて詠んでいます。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *hagalaz 「雹(ひょう)」
- 音
- /h/
- 英国のフソルク
- ᚻ hægl(雹)
- 北欧のヤンガー・フサルク
- ᚼ hagall(雹)
- ゴート文字の名
- hagl
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
古い字形には横棒1本の ᚺ と2本の ᚻ があり、スカンディナヴィアの碑文は1本、大陸の碑文は2本の形を使います。英国でも初めは1本の形でしたが、7世紀からは2本の形に替わり、早い例がハーリンゲンの金貨や聖カスバートの棺に見られます。
ヤンガー・フサルクでは、もとは j のルーンだった交差形 ᚼ が h を表すようになりました(ᛃ Jera の項を参照)。ゴート文字の h の名は hagl です。
ルーン詩に詠まれたHagalaz
雹は最も白い穀物。天の丸天井から渦を巻いて降り、突風にもまれ、やがて水に変わる。
Hægl bẏþ hƿitust corna; / hƿẏrft hit of heofones lẏfte, / ƿealcaþ hit ƿindes scura; / ƿeorþeþ hit to ƿætere sẏððan.
雹は最も冷たい穀物。キリストはいにしえに世界を造った。
Hagall er kaldastr korna; / Kristr skóp hæimenn forna.
雹——冷たい穀物、みぞれの降りしきり、蛇たちの病。
Hagall er kaldakorn / ok krapadrífa / ok snáka sótt.
ノルウェーの詩の後半にはキリストが登場します。北欧のルーン詩がキリスト教化の後に書き留められたことを示す一節です。
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
防ぎようのない外からの出来事、予定の中断を表します。ただし古英語詩は雹が「やがて水に変わる」と結んでおり、激しく降ったものも時間がたてば落ち着き、土を潤す水になるという見通しまで含めて読むルーンです。
注意すべき面(逆位置なし)
上下を返しても同じ形なので逆位置はありません。注意すべき面としては、慌てて動いて被害を広げることや、過ぎた嵐にいつまでもこだわることを示します。
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予定外の出来事で計画が崩れやすい時期。どちらのせいでもない出来事として受け止めると、関係は傷みません。
仕事
突発的なトラブルや外部要因の変更。まず被害の範囲を確かめ、落ち着いてから立て直す順序が大切です。
ハガルのアエットの1番目
同じ組のルーン: ᚾ Nauthiz・ᛁ Isa・ᛃ Jera・ᛇ Eihwaz・ᛈ Perthro・ᛉ Algiz・ᛊ Sowilo
よくある質問
Hagalazの名前の意味はどこまで確かですか?
確度は高いほうです。3つの詩とゴート文字の hagl がすべて「雹」で一致します。
Hagalazに逆位置はありますか?
ᚺは180度回しても同じ形なので、逆位置として読み分けることはできません。そもそも正位置・逆位置の区別は現代の占いの手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Haglaz」 Hagalaz の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。