ᛊSowilo (シゲル)
太陽
s のルーン。3つのルーン詩がそろって「太陽」として詠み、古英語の詩は海を渡る船乗りの希望として描いています。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *sōwilō 「太陽」
- 音
- /s/
- 英国のフソルク
- ᛋ sigel(太陽)
- 北欧のヤンガー・フサルク
- ᛋ sól(太陽)
- ゴート文字の名
- sauil
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
ゲルマン語の「太陽」には、l を含む *sōwilō(古ノルド語 sól、ゴート語 sauil)と n を含む *sunnōn(英語 sun)の2系統があり、インド・ヨーロッパ祖語の古い変化の名残とされます。古英語の名 sigel は l 系の古い形の名残と説明されることが多い語です。
字形はイタリアの古い文字の s(ギリシャ文字 Σ の系統)をそのまま取り入れたもので、2〜3世紀の碑文から現れます。初期は4画の Σ 型(キュルヴェル石など)、5世紀以降は3画の S 型が多くなります。のちにこの形はアルマーネン・ルーンの「勝利のルーン」を経て、1933年にナチス親衛隊(SS)の徽章に転用されました。
ルーン詩に詠まれたSowilo
太陽は、魚の浴場(海)を越えて旅する船乗りたちにとって、深みの駿馬(船)が彼らを陸へ運ぶまで、いつも希望の喜びだ。
Sigel semannum sẏmble biþ on hihte, / ðonne hi hine feriaþ ofer fisces beþ, / oþ hi brimhengest bringeþ to lande.
太陽は大地の光。私は神の定めに頭を垂れる。
Sól er landa ljóme; / lúti ek helgum dóme.
太陽——雲の盾、輝く光線、氷を滅ぼすもの。
Sól er skýja skjöldr / ok skínandi röðull / ok ísa aldrtregi.
「魚の浴場」は海、「深みの駿馬」は船を指す、古英語詩らしい言い換えです。
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
海の上で船乗りの希望となった太陽のように、進む方向がはっきりし、目標に向かって動ける時期を表します。アイスランドの詩の「氷を滅ぼすもの」から、こう着していた物事が解けていく兆しとも読まれます。
注意すべき面(逆位置なし)
上下を返しても同じ形なので逆位置はありません。注意すべき面としては、照らしすぎ、つまり頑張りすぎや、自分の正しさだけが明るく見えている状態を示します。
恋愛
関係の見通しが明るくなる時期。前向きな言葉が相手を温めますが、熱を押しつけすぎないように。
仕事
目標の達成や成果の発表に向く時期。陸に着くまでが航海なので、仕上げの確認まで気を抜かずに。
ハガルのアエットの8番目
同じ組のルーン: ᚺ Hagalaz・ᚾ Nauthiz・ᛁ Isa・ᛃ Jera・ᛇ Eihwaz・ᛈ Perthro・ᛉ Algiz
よくある質問
Sowiloの名前の意味はどこまで確かですか?
確度は高いほうです。3つの詩が「太陽」で一致し、ゴート語 sauil とも対応します。
Sowiloに逆位置はありますか?
ᛊは180度回しても同じ形なので、逆位置として読み分けることはできません。そもそも正位置・逆位置の区別は現代の占いの手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Sowilō (rune)」 Sowilo の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。
- Wikipedia(英語版)「Kylver Stone」 24文字を順に並べた最古の例(400年ごろ、ゴットランド島)。1903年の発見と、末尾の木の形の記号。