ᛗMannaz (マン)
人間
m のルーン。名前は「人」。3つのルーン詩がそろって人間を詠み、古英語の詩は人のつながりと、いずれ土に還る命の両方を語っています。
名前・音・のちの文字
- 復元名(推定)
- *mannaz 「人、人間」
- 音
- /m/
- 英国のフソルク
- ᛗ man(人)
- 北欧のヤンガー・フサルク
- ᛘ maðr(人)
「*」は文献に直接残っていない、言語学上の復元形であることを示します。
字形はイタリアの古い文字の M(ギリシャ文字 μ の系統)に由来します。ヤンガー・フサルクではこの形は使われず、「人」の名を持つ文字 maðr は、かつての z のルーン ᛉ と同じ形 ᛘ で書かれるようになりました。
ノルウェーとアイスランドの詩はどちらも人を「土の増えたもの」と呼びます。人が土から生まれ土に還るという見方で、古英語の詩の結びの「主はその定めにより、哀れな肉を土に委ねる」と響き合っています。
ルーン詩に詠まれたMannaz
喜びに満ちた人は親族に愛される。だが誰もがいずれ仲間のもとを去る定めにある。主はその定めにより、哀れな肉を土に委ねるのだから。
Man bẏþ on mẏrgþe his magan leof: / sceal þeah anra gehƿẏlc oðrum sƿican, / forðum drẏhten ƿẏle dome sine / þæt earme flæsc eorþan betæcan.
人は土の増えたもの。鷹の爪は大きい。
Maðr er moldar auki; / mikil er græip á hauki.
人——人の喜び、土の増えたもの、船を飾るもの。
Maðr er manns gaman / ok moldar auki / ok skipa skreytir.
訳はブルース・ディキンズの英訳(1915年)をもとにした当サイトの日本語訳です。原文は Wikipedia 各項目に掲載の校訂テキストによります(一部の特殊文字は簡略化しています)。
現代のルーン占いでの読み方
ここから先は、1982年のラルフ・ブラム『The Book of Runes』以降に広まった現代の占いの読み方です。上の詩のイメージを手がかりにしていますが、古代のゲルマン人がこのように占っていたという記録はありません。
正位置
アイスランドの詩の「人の喜び」から、人と人との支え合い、自分を客観的に見つめることを表します。古英語詩が命の限りにも触れることから、限られた時間を誰とどう過ごすかを考えさせるルーンとも読まれます。
逆位置
孤立、自己否定、人の目を気にしすぎる状態。ひとりで抱え込まず、身近な人の言葉に耳を傾けます。
恋愛
素の自分を見せられるかがテーマ。役割を演じるより、等身大の気持ちを伝えるほうが関係が深まります。
仕事
チームワークや人事・評価。周りの強みを知り、自分の役割を確かめ直すとよい時期です。
ティールのアエットの4番目
同じ組のルーン: ᛏ Tiwaz・ᛒ Berkano・ᛖ Ehwaz・ᛚ Laguz・ᛜ Ingwaz・ᛞ Dagaz・ᛟ Othala
よくある質問
Mannazの名前の意味はどこまで確かですか?
確度は高いほうです。3つの詩がそろって「人」の意味で詠み、*mannaz は英語の man と同じ語です。
Mannazに逆位置はありますか?
現代のルーン占いでは、上下が逆に出たときに意味を弱めたり反転させたりして読みます。ただし、この区別は20世紀後半に広まった手法で、古い史料には見られません。
次に読む
- ルーン24文字の一覧 — 3つのアエットと、何が史料に基づき何が現代の解釈かの整理。
- 落下物・くじ占い — タキトゥスが記した木片のくじなど、偶然に意味を読む占いの系譜。
- 北欧・ゲルマンの占い文化 — ルーンのほか、女預言者ヴォルヴァやセイズルの伝承。
- タロット占い — 同じ質問をカードで引き、ルーンの読みと見比べられます。
参考資料
- Wikipedia(英語版)「Mannaz」 Mannaz の名前の語源、各地の名と字形の変化、ルーン詩の原文。
- Internet Archive「Runic and Heroic Poems of the Old Teutonic Peoples(Bruce Dickins 編訳、1915年)」 古英語・ノルウェー・アイスランドの3つのルーン詩の原文と英訳。各ページのルーン詩の日本語訳は、この英訳をもとに当サイトが訳したものです。
- Wikipedia(英語版)「Elder Futhark」 24文字の復元名・意味・音価(R. I. Page、M. Barnes の研究に基づく表)、アエットの呼び名、碑文の数と分布、ヴァドステナのブラクテアートの字順。
- Wikipedia(英語版)「Runic magic」 タキトゥス『ゲルマニア』10章の解釈(印がルーンかどうかは決められない)と、ラルフ・ブラム『The Book of Runes』(1982年)以降の現代のルーン占い。