SUKUYO 09 · Pūrvaphalgunī

張宿ちょうしゅく

ナクシャトラプールヴァ・パールグニー 七種の分類猛悪宿 四方七宿南方朱雀

張宿は、宿曜経が昴宿から数える27宿の9番目の宿です。経は「張は二つの星で、形は杵のよう。婆藪神の宿」と説きます。 以下、経は宿曜経の本文と訳、現代は当サイトによる現代的な読み方です。

経張宿に生まれた人

此宿生人,法合足妻妾、多男女,出語愜人意甚得人愛,少資財智策亦不多業,合得人財

家族に恵まれ、子が多い。口にする言葉が人の気持ちにかない、とても愛される。自分の資産や策略は乏しく、生業も多くはないが、人から財を得る。

愜人意
人の気持ちにかなう
智策
知恵と策略
業
なりわい
人財
人からもたらされる財

経張宿の日に向くこと

此宿直日,宜喜慶事,求女婚娶、修宅、拜官、作新衣、受長密法、學道承仙並吉

お祝い事、縁談と婚礼、家の修理、任官、新しい衣を作る、密教の法を受ける、道を学ぶことに吉。

経は各宿の日に衣を裁つとどうなるかも記しています。張宿の日は「若用裁衣,必被官奪」——この日に衣を裁つと、役人に奪われる。

巻下の吉凶暦では

張宿,宜喜慶事,求女嫁娶、修理宅、作衣服、嚴飾物、作愛敬法等並吉

祝い事、縁談と嫁取り、家の修理、衣服や飾り物を作ることに加え、「愛敬法」(人に愛され敬われるための修法)に吉とします。七種の分類の箇所でも、張宿の日は愛敬法によいと重ねて書かれています。

経猛悪宿としての張宿

経は27宿を性質で七種に分けています。張宿は猛悪宿(もうあくしゅく)で、 同じ組は星宿・箕宿・室宿です。 この組に生まれた人について経は「法合兇害猛殺,宜捨身出家作沙門」(荒々しく人を害しやすいので、出家して僧になるのがよい)と書きます。

猛悪宿の日は、道を守り要害を設ける、武器を作る、裁き、狩猟、天や神を祭ることなどに向くとされる。

経ほかの章に出てくる張宿

七曜との組み合わせ

  • 金曜日の張宿は金剛峯日 — 魔や敵を降伏させる修法、日天子の真言、護摩など強い事によい日

本命宿がわからない人の宿

巻上は、生まれた月日を覚えていない人が訪ねてきたら、その人が最初に触れた体の部位で宿を決めよ、と説きます。張宿にあたるのは「右肩」です。

若觸右肩則屬張宿

七曜が犯すと災いがあるとされる宿

同じ章は、七曜(日・月と五惑星)が自分の命宿のほか、命宿から数えて4・10・13・16・20番目の宿に入ると災いがあるとします。張宿生まれの場合は 事宿が箕宿(災いを招く)、意宿が角宿(憂いや苦しみが多い)、聚宿が壁宿(財を失い、囚われる)、同宿が昴宿(家族が離れ、家が衰える)、克宿が虚宿(財や官職を失い、勢いが衰える)です。

経楊景風の注 — 中国の星座との違い

中國天文,張六星,南方之宿也

中国の天文では張は六星で、南方の宿。

出典:『宿曜経』巻上「宿曜暦経序日宿直所生品第二」(大正新脩大蔵経 第21巻 p.389b05–b10、CBETA のテキストによる)。現代語訳は当サイトによる大意です。

星空での位置と対応

ナクシャトラ
Pūrvaphalgunī(プールヴァ・パールグニー)— 名の意味は「前の赤みを帯びたもの」
インドでの神格
バガ(幸運と婚姻の神)。経の「婆藪」はヴァスに音が近く、一覧のバガとは一致しません。星宿・張宿の二宿は神名の対応が一覧と食い違っています。
対応する星
しし座δ星・θ星
二十八宿として
和名は「ちりこぼし」。うみへび座中央部にあたり、距星(宿の基準星)はうみへび座υ1星。南方朱雀の七宿の一つ
十二宮への配当
師子宮4足(経の「分定宿直品第一」による。1宮を9足、1宿を4足に分ける)

ナクシャトラは黄道を13°20′ずつ27等分した区画で、中国の不等間隔な二十八宿とは同じ星を指すとは限りません。名の意味・神格・星は英語版 Wikipedia「Nakshatra」の一覧、距星は日本語版 Wikipedia「二十八宿」の表によります。

現代張宿の読み方

経の人物像の中心は「出語愜人意甚得人愛(言葉が人の心にかない、深く愛される)」です。自分の財や策は少なくても人から財を得る、という書き方は、人柄と言葉で支援を引き寄せるタイプを思わせます。インドでは婚姻と幸運の神バガの宿とされ、経でもこの宿の日は婚礼や祝い事に向くとされます。現代的には、場を和ませる話し方で好かれ、人とのつながりが財産になる人と読めます。

張宿の日を今の暮らしに置き換えると

祝い事、縁談、婚礼、家の修理、新しい衣と、華やかで人に関わる用事が並ぶ日。お祝いの席、顔合わせ、贈り物選びに重ねやすい日です。

経の人物描写は唐代の暦占の言葉で、性格を断定するものではありません。この段落は当サイトが経の記述をもとに書いた解釈です。

張宿から見た三九の秘法

自分の宿を「命」として27宿を順に数え、9宿ずつ三巡させたときの位置で関係を決めるのが三九の秘法です(しくみは一覧ページ)。 経は相手と交わるとき「栄・安・成・友・親を善とし、交わってよい。それ以外はみな悪い」としており、張宿から見てこれにあたるのは15宿です。

栄えい 昴宿・翼宿・斗宿
衰すい 畢宿・軫宿・女宿
安あん 觜宿・角宿・虚宿
危き 参宿・亢宿・危宿
成せい 井宿・氐宿・室宿
壊かい 鬼宿・房宿・壁宿
友ゆう 柳宿・心宿・奎宿
親しん 星宿・尾宿・婁宿
業ごう 箕宿
胎たい 胃宿

色の付いた行が、経が「交わってよい」とする関係です。その宿の日に何をするとよいかや、現代の「栄親」「安壊」などの組み合わせでの読み方は一覧ページにまとめています。

張宿生まれになる旧暦の日

本命宿は、旧暦の各月1日に決まった宿を置き、1日ごとに次の宿へ進めて決めます(閏月は同じ数の月と同じ)。張宿にあたるのは次の日です。

  • 正月14日
  • 二月12日
  • 三月10日
  • 四月8日
  • 五月6日
  • 六月4日
  • 七月1日・28日
  • 八月25日
  • 九月23日
  • 十月21日
  • 十一月18日
  • 十二月16日

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参考資料