SUKUYO 20 · Śravaṇa

女宿じょしゅく

ナクシャトラシュラヴァナ 七種の分類軽躁宿(行宿) 四方七宿北方玄武

女宿は、宿曜経が昴宿から数える27宿の20番目の宿です。経は「女は三つの星で、形は「梨格」のよう(何を指すかは未詳)。毘藪幻神(ヴィシュヌの音写)の宿」と説きます。 以下、経は宿曜経の本文と訳、現代は当サイトによる現代的な読み方です。

経女宿に生まれた人

此宿生人,法合足心力、少病、好布施、守法律、勤道業、榮祖宗

気力が充実し、病が少ない。施しを好み、法や決まりを守り、仏道の修行に励み、祖先の名を高める。

心力
気力
法律
法と戒律
道業
仏道の修行
榮祖宗
祖先の名を高める

経女宿の日に向くこと

此宿直日,宜為公事、置城邑、立卿相、發兵、造戰具,并學伎能、穿耳、理髮案摩並吉。不宜初著新衣,或因之致死。又不宜諍競

公の仕事、町を築く、大臣を立てる、出兵、武具づくり、技芸を学ぶ、耳に穴をあける、髪を整え按摩をすることに吉。新しい衣を初めて着るのは不可(それがもとで死ぬこともある)。争い事も不可。

経は各宿の日に衣を裁つとどうなるかも記しています。女宿の日は「若用裁衣,必足病痛」——この日に衣を裁つと、病や痛みが多くなる。

巻下の吉凶暦では

女宿,凡為公事皆吉。出城外發教命、除逆敵、置城邑、立宰輔、發兵、作戰具取與,及呈學伎藝,穿耳,修理鬢髮,按摩並吉。不宜著新衣及競財穿池等。宜供養尊者、諸天、父母及諸貴勝

公の事はみな吉。城外に出て命令を発する、敵を除く、町を築き宰相を立てる、出兵、武具、技芸を披露する、耳に穴をあける、髪を整える、按摩に吉。新しい衣を着ること、財を争うこと、池を掘ることは不可。尊者・諸天・父母・身分の高い人を供養するのはよいとします。

行動禁閉法では、女宿の日は東へ旅立ってはならず、吉時であっても行くなとされます。

経軽躁宿(行宿)としての女宿

経は27宿を性質で七種に分けています。女宿は軽躁宿(行宿)(けいそうしゅく)で、 同じ組は井宿・亢宿・虚宿・危宿です。 この組に生まれた人について経は「法合澆薄,不然則質直平穩」(人情に薄い。そうでなければ、飾り気がなく穏やかである)と書きます。

軽躁宿(行宿)の日は、象や馬に乗る、舟で川を渡る、使者として遠方へ行く、礼楽、閲兵、種まき、酒造り、薬の調合など、動く事柄に向く。

経ほかの章に出てくる女宿

七曜との組み合わせ

経はその日の曜日(七曜)と宿の組み合わせで甘露日・金剛峯日・羅刹日を定めていますが、女宿はこのどれにも挙がっていません。

本命宿がわからない人の宿

巻上は、生まれた月日を覚えていない人が訪ねてきたら、その人が最初に触れた体の部位で宿を決めよ、と説きます。女宿にあたるのは「腹」です。

若觸腹肚者則屬女宿

七曜が犯すと災いがあるとされる宿

同じ章は、七曜(日・月と五惑星)が自分の命宿のほか、命宿から数えて4・10・13・16・20番目の宿に入ると災いがあるとします。女宿生まれの場合は 事宿が畢宿(災いを招く)、意宿が室宿(憂いや苦しみが多い)、聚宿が星宿(財を失い、囚われる)、同宿が角宿(家族が離れ、家が衰える)、克宿が井宿(財や官職を失い、勢いが衰える)です。

経楊景風の注 — 中国の星座との違い

中國天文,女四星,主藏府土,北方之宿也

中国の天文では女は四星で、北方の宿。

出典:『宿曜経』巻上「宿曜暦経序日宿直所生品第二」(大正新脩大蔵経 第21巻 p.390a19–a25、CBETA のテキストによる)。現代語訳は当サイトによる大意です。

星空での位置と対応

ナクシャトラ
Śravaṇa(シュラヴァナ)— 名の意味は「聞くこと」
インドでの神格
ヴィシュヌ。経の「毘藪幻」はヴィシュヌの音写で、一致します。
対応する星
アルタイル(わし座α星)・β星・γ星
二十八宿として
和名は「うるきぼし」。みずがめ座西端部にあたり、距星(宿の基準星)はみずがめ座ε星。北方玄武の七宿の一つ
十二宮への配当
磨竭宮4足(経の「分定宿直品第一」による。1宮を9足、1宿を4足に分ける)

ナクシャトラは黄道を13°20′ずつ27等分した区画で、中国の不等間隔な二十八宿とは同じ星を指すとは限りません。名の意味・神格・星は英語版 Wikipedia「Nakshatra」の一覧、距星は日本語版 Wikipedia「二十八宿」の表によります。

現代女宿の読み方

インドではヴィシュヌの宿で、名は「聞くこと」。対応する星は七夕の牽牛星アルタイルです(中国では牽牛は隣の牛宿の側に置かれ、ここが入れ替わっています)。経の人物像は、決まりを守り、修行に励み、祖先の名を高めると、実直で勤勉な姿が中心です。この宿の日には公務や人事、技芸の習得が挙がります。現代的には、ルールを大切にし、学び続けることで信頼を得ていく人と読めます。

女宿の日を今の暮らしに置き換えると

公の事、町づくり、人事、技芸の習得に向き、新しい衣を初めて着ることと争い事は避ける日。仕事の手続きや資格の勉強には向き、言い争いになりそうな話し合いは控える日と読めます。

経の人物描写は唐代の暦占の言葉で、性格を断定するものではありません。この段落は当サイトが経の記述をもとに書いた解釈です。

女宿から見た三九の秘法

自分の宿を「命」として27宿を順に数え、9宿ずつ三巡させたときの位置で関係を決めるのが三九の秘法です(しくみは一覧ページ)。 経は相手と交わるとき「栄・安・成・友・親を善とし、交わってよい。それ以外はみな悪い」としており、女宿から見てこれにあたるのは15宿です。

栄えい 觜宿・角宿・虚宿
衰すい 参宿・亢宿・危宿
安あん 井宿・氐宿・室宿
危き 鬼宿・房宿・壁宿
成せい 柳宿・心宿・奎宿
壊かい 星宿・尾宿・婁宿
友ゆう 張宿・箕宿・胃宿
親しん 昴宿・翼宿・斗宿
業ごう 畢宿
胎たい 軫宿

色の付いた行が、経が「交わってよい」とする関係です。その宿の日に何をするとよいかや、現代の「栄親」「安壊」などの組み合わせでの読み方は一覧ページにまとめています。

女宿生まれになる旧暦の日

本命宿は、旧暦の各月1日に決まった宿を置き、1日ごとに次の宿へ進めて決めます(閏月は同じ数の月と同じ)。女宿にあたるのは次の日です。

  • 正月25日
  • 二月23日
  • 三月21日
  • 四月19日
  • 五月17日
  • 六月15日
  • 七月12日
  • 八月9日
  • 九月7日
  • 十月5日
  • 十一月2日・29日
  • 十二月27日

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参考資料