SUKUYO 19 · Uttarāṣāḍhā

斗宿としゅく

ナクシャトラウッタラ・アーシャーダー 七種の分類安重宿 四方七宿北方玄武

斗宿は、宿曜経が昴宿から数える27宿の19番目の宿です。経は「斗は四つの星で、形は象の足跡のよう。毘說神(ヴィシュヴェーデーヴァの音写)の宿」と説きます。 以下、経は宿曜経の本文と訳、現代は当サイトによる現代的な読み方です。

経斗宿に生まれた人

此宿生人,法合愛鞍馬、歷山林,愛祈禱祀、結交賢良、多伎能、足錢財

馬を好み、山林を巡る。祈りや祭祀を好み、賢く善良な人と交わる。多くの技能を持ち、金銭に不自由しない。

歷山林
山林を巡る
祈禱祀
祈りと祭祀
賢良
賢く善良な人
伎能
技能、芸

経斗宿の日に向くこと

此宿直日,宜著新衣及安久之事,置庫藏、修理園林、造車乘、營田宅、造寺宇、作兵器並吉

新しい衣を着ること、長く安定させる事、倉を建てる、庭園や林の手入れ、車を造る、田や家を営む、寺を建てる、武器を作ることに吉。

経は各宿の日に衣を裁つとどうなるかも記しています。斗宿の日は「若用裁衣,多得美味」——この日に衣を裁つと、おいしいものに多くありつける。

巻下の吉凶暦では

斗宿,宜著新衣及安久事,置藏、修理園林、造車輿等乘載之物、營田宅城邑福舍寺等,作戰具及諸用物並吉

新しい衣と長く安定させる事、蔵を置く、庭園や林の手入れ、車や輿などの乗り物、田宅・町・福舎(施しの宿舎)・寺を営む、武具や道具を作ることに吉とします。

経安重宿としての斗宿

経は27宿を性質で七種に分けています。斗宿は安重宿(あんじゅうしゅく)で、 同じ組は畢宿・翼宿・壁宿です。 この組に生まれた人について経は「法合安重威肅、正福德、有大名聞」(落ち着いて重みがあり、威厳を備え、福徳に恵まれ、大きな名声を得る)と書きます。

安重宿の日は、宮殿・寺院・家屋の建築、種まき、倉への収納、友人づきあい、婚姻、灌頂など、長く続けたいことに向く。遠出・借金の取り立て・酒造り・散髪・賭け事には向かない。

経ほかの章に出てくる斗宿

七曜との組み合わせ

経はその日の曜日(七曜)と宿の組み合わせで甘露日・金剛峯日・羅刹日を定めていますが、斗宿はこのどれにも挙がっていません。

本命宿がわからない人の宿

巻上は、生まれた月日を覚えていない人が訪ねてきたら、その人が最初に触れた体の部位で宿を決めよ、と説きます。斗宿にあたるのは「左の脇腹」です。

脅者則屬斗宿

七曜が犯すと災いがあるとされる宿

同じ章は、七曜(日・月と五惑星)が自分の命宿のほか、命宿から数えて4・10・13・16・20番目の宿に入ると災いがあるとします。斗宿生まれの場合は 事宿が昴宿(災いを招く)、意宿が危宿(憂いや苦しみが多い)、聚宿が柳宿(財を失い、囚われる)、同宿が軫宿(家族が離れ、家が衰える)、克宿が参宿(財や官職を失い、勢いが衰える)です。

経楊景風の注 — 中国の星座との違い

中國天文,斗六星,主江湖,北方之宿也

中国の天文では斗は六星(いわゆる南斗六星)で、北方の宿。経の「四星」とは数が異なる。

出典:『宿曜経』巻上「宿曜暦経序日宿直所生品第二」(大正新脩大蔵経 第21巻 p.390a08–a13、CBETA のテキストによる)。現代語訳は当サイトによる大意です。

星空での位置と対応

ナクシャトラ
Uttarāṣāḍhā(ウッタラ・アーシャーダー)— 名の意味は「後の不敗のもの」
インドでの神格
ヴィシュヴェーデーヴァ(万神)。経の「毘說」はヴィシュヴェーデーヴァの音写と見られ、一致します。
対応する星
いて座ζ星・σ星
二十八宿として
和名は「ひきつぼし」。いて座中央部(南斗六星)にあたり、距星(宿の基準星)はいて座φ星。北方玄武の七宿の一つ
十二宮への配当
弓宮1足・磨竭宮3足(経の「分定宿直品第一」による。1宮を9足、1宿を4足に分ける)

ナクシャトラは黄道を13°20′ずつ27等分した区画で、中国の不等間隔な二十八宿とは同じ星を指すとは限りません。名の意味・神格・星は英語版 Wikipedia「Nakshatra」の一覧、距星は日本語版 Wikipedia「二十八宿」の表によります。

現代斗宿の読み方

経の斗宿は、山林を巡り、祈りを好み、賢い人と交わり、技能が多いと、修養と交友の語で描かれます。分類は安重宿で、この宿の日は倉・寺・田宅など長く残るものを造るのに向くとされます。インド側の神格は「万神(すべての神々)」。現代的には、良い師や仲間を選んで付き合い、多芸を積み重ねて足場を固めていく人と読めます。なお中国の斗宿は南斗六星にあたります。

斗宿の日を今の暮らしに置き換えると

新しい衣を着る、蔵や車、田宅、寺を造るなど、長く使うものを整える日。大きな買い物や住まいの手入れ、長く使う道具をそろえる日として読めます。

経の人物描写は唐代の暦占の言葉で、性格を断定するものではありません。この段落は当サイトが経の記述をもとに書いた解釈です。

斗宿から見た三九の秘法

自分の宿を「命」として27宿を順に数え、9宿ずつ三巡させたときの位置で関係を決めるのが三九の秘法です(しくみは一覧ページ)。 経は相手と交わるとき「栄・安・成・友・親を善とし、交わってよい。それ以外はみな悪い」としており、斗宿から見てこれにあたるのは15宿です。

栄えい 畢宿・軫宿・女宿
衰すい 觜宿・角宿・虚宿
安あん 参宿・亢宿・危宿
危き 井宿・氐宿・室宿
成せい 鬼宿・房宿・壁宿
壊かい 柳宿・心宿・奎宿
友ゆう 星宿・尾宿・婁宿
親しん 張宿・箕宿・胃宿
業ごう 昴宿
胎たい 翼宿

色の付いた行が、経が「交わってよい」とする関係です。その宿の日に何をするとよいかや、現代の「栄親」「安壊」などの組み合わせでの読み方は一覧ページにまとめています。

斗宿生まれになる旧暦の日

本命宿は、旧暦の各月1日に決まった宿を置き、1日ごとに次の宿へ進めて決めます(閏月は同じ数の月と同じ)。斗宿にあたるのは次の日です。

  • 正月24日
  • 二月22日
  • 三月20日
  • 四月18日
  • 五月16日
  • 六月14日
  • 七月11日
  • 八月8日
  • 九月6日
  • 十月4日
  • 十一月1日・28日
  • 十二月26日

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参考資料