SUKUYO 25 · Revatī

奎宿けいしゅく

ナクシャトラレーヴァティー 七種の分類和善宿 四方七宿西方白虎

奎宿は、宿曜経が昴宿から数える27宿の25番目の宿です。経は「奎は三十二の星で、形は小舟のよう。甫涉神(プーシャンの音写)の宿」と説きます。 以下、経は宿曜経の本文と訳、現代は当サイトによる現代的な読み方です。

経奎宿に生まれた人

此宿生人,法合有祖父產業,及有經營得錢財,物合用盡後更得之,事無終始

祖父の代からの家業や財産があり、やりくりで金銭を得る。財を使い尽くしても、また得られる。物事は始めから終わりまで一貫しない。続けて、施しを好み、善い人を慕い、教えや経典を学ぶとも記す。

祖父產業
祖父の代からの家業と財産
經營
やりくり
用盡後更得
使い尽くしても、また得る
事無終始
物事が長続きしない

経奎宿の日に向くこと

此宿直日,造倉庫及牛馬坊,挍算、畜牧、醞酒、鎔糟、冠帶、出行並吉

倉庫や牛馬の小屋を造る、勘定、牧畜、酒の仕込み、冠や帯で装う、旅立ちに吉。

経は各宿の日に衣を裁つとどうなるかも記しています。奎宿の日は「若用裁衣,必得寶器」——この日に衣を裁つと、宝の器を得る。

巻下の吉凶暦では

奎宿,取珍寶,宜造倉庫及牛羊坊,挍算畜生、造酒融酥,及作堤堰、研服藥、著新衣、服飾莊嚴、遠行進路,作和善事、急速事並吉

珍しい宝を手に入れる、倉庫や牛羊の小屋を造る、家畜の勘定、酒造りと乳製品の加工、堤や堰を作る、薬をすりつぶして飲む、新しい衣で装う、遠出、穏やかな事と急ぎの事のどちらにも吉とします。

経和善宿としての奎宿

経は27宿を性質で七種に分けています。奎宿は和善宿(わぜんしゅく)で、 同じ組は觜宿・角宿・房宿です。 この組に生まれた人について経は「法合柔軟溫良,聰明而愛典教」(物腰が柔らかく温和で善良、聡明で経典や教えを好む)と書きます。

和善宿の日は、道場に入る、技芸を学ぶ、真言を習う、斎戒、灌頂、音楽、慶事、求婚、君主や高官への面会、服薬などに向く。

経ほかの章に出てくる奎宿

七曜との組み合わせ

  • 金曜日の奎宿は羅刹日 — 何事も始めてはならず、行えば必ず災いがあるとされる日

本命宿がわからない人の宿

巻上は、生まれた月日を覚えていない人が訪ねてきたら、その人が最初に触れた体の部位で宿を決めよ、と説きます。奎宿にあたるのは「膝」です。

若觸膝胢者則屬奎宿

七曜が犯すと災いがあるとされる宿

同じ章は、七曜(日・月と五惑星)が自分の命宿のほか、命宿から数えて4・10・13・16・20番目の宿に入ると災いがあるとします。奎宿生まれの場合は 事宿が柳宿(災いを招く)、意宿が昴宿(憂いや苦しみが多い)、聚宿が亢宿(財を失い、囚われる)、同宿が尾宿(家族が離れ、家が衰える)、克宿が翼宿(財や官職を失い、勢いが衰える)です。

経楊景風の注 — 中国の星座との違い

中國天文,奎十六星,主武庫,西方之宿也

中国の天文では奎は十六星で、武器庫を司る西方の宿。経の「三十二星」はその倍にあたる。

出典:『宿曜経』巻上「宿曜暦経序日宿直所生品第二」(大正新脩大蔵経 第21巻 p.390b24–c02、CBETA のテキストによる)。現代語訳は当サイトによる大意です。

星空での位置と対応

ナクシャトラ
Revatī(レーヴァティー)— 名の意味は「豊かなもの」
インドでの神格
プーシャン(道と家畜の守護神)。経の「甫涉」はプーシャンの音写と見られ、一致します。
対応する星
うお座ζ星
二十八宿として
和名は「とかきぼし」。アンドロメダ座にあたり、距星(宿の基準星)はアンドロメダ座ζ星。西方白虎の七宿の一つ
十二宮への配当
魚宮4足(経の「分定宿直品第一」による。1宮を9足、1宿を4足に分ける)

ナクシャトラは黄道を13°20′ずつ27等分した区画で、中国の不等間隔な二十八宿とは同じ星を指すとは限りません。名の意味・神格・星は英語版 Wikipedia「Nakshatra」の一覧、距星は日本語版 Wikipedia「二十八宿」の表によります。

現代奎宿の読み方

旅と家畜の守護神プーシャンの宿で、名は「豊かなもの」。経の人物像は、祖父の代からの財、使っても戻ってくる金回り、と財運の語が目立ちます。この宿の日も倉庫・牧畜・勘定・旅立ちと、財の管理と移動に向くとされます。一方で「事無終始」が二度出てきて、物事を最後までやり通すのは苦手とされます。現代的には、受け継いだものを元手に回していく才覚があり、関心が移りやすい人と読めます。

奎宿の日を今の暮らしに置き換えると

倉庫、家畜、勘定、酒造り、堤や堰、新しい衣、遠出と、蓄えと移動の両方に向く日。家計の整理や収納の見直し、旅行の出発に当てはめられます。

経の人物描写は唐代の暦占の言葉で、性格を断定するものではありません。この段落は当サイトが経の記述をもとに書いた解釈です。

奎宿から見た三九の秘法

自分の宿を「命」として27宿を順に数え、9宿ずつ三巡させたときの位置で関係を決めるのが三九の秘法です(しくみは一覧ページ)。 経は相手と交わるとき「栄・安・成・友・親を善とし、交わってよい。それ以外はみな悪い」としており、奎宿から見てこれにあたるのは15宿です。

栄えい 星宿・尾宿・婁宿
衰すい 張宿・箕宿・胃宿
安あん 昴宿・翼宿・斗宿
危き 畢宿・軫宿・女宿
成せい 觜宿・角宿・虚宿
壊かい 参宿・亢宿・危宿
友ゆう 井宿・氐宿・室宿
親しん 鬼宿・房宿・壁宿
業ごう 柳宿
胎たい 心宿

色の付いた行が、経が「交わってよい」とする関係です。その宿の日に何をするとよいかや、現代の「栄親」「安壊」などの組み合わせでの読み方は一覧ページにまとめています。

奎宿生まれになる旧暦の日

本命宿は、旧暦の各月1日に決まった宿を置き、1日ごとに次の宿へ進めて決めます(閏月は同じ数の月と同じ)。奎宿にあたるのは次の日です。

  • 正月3日・30日
  • 二月1日・28日
  • 三月26日
  • 四月24日
  • 五月22日
  • 六月20日
  • 七月17日
  • 八月14日
  • 九月12日
  • 十月10日
  • 十一月7日
  • 十二月5日

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参考資料