SUKUYO 16 · Jyeṣṭhā

心宿しんしゅく

ナクシャトラジェーシュター 七種の分類毒害宿 四方七宿東方青龍

心宿は、宿曜経が昴宿から数える27宿の16番目の宿です。経は「心は三つの星で、形は階段のよう。因陀羅神(インドラの音写)の宿」と説きます。 以下、経は宿曜経の本文と訳、現代は当サイトによる現代的な読み方です。

経心宿に生まれた人

此宿生人,法合處族眾得愛敬,承事君王多蒙禮侍,摧惡獎善、運命得所

一族や人々の中にあって愛され敬われ、君主に仕えて厚くもてなされる。悪をくじき善をすすめ、運命は落ち着くべきところに落ち着く。

族眾
一族や人々
禮侍
礼をもって待遇される
摧惡獎善
悪をくじき善をすすめる
運命得所
運命がしかるべき所に落ち着く

経心宿の日に向くこと

此宿直日,宜作王者所須事,兼宜嚴服昇位、登壇拜官職、畜乘、案摩理身、修功德並吉,不宜出財及放債

王に必要な事、正装しての昇進、壇に登っての任官、家畜や乗り物、按摩で体を整える、功徳を修めることに吉。財を出すことや金を貸すことには向かない。

経は各宿の日に衣を裁つとどうなるかも記しています。心宿の日は「若用裁衣,必遭死亡盜賊」——この日に衣を裁つと、死亡や盗賊の災いに遭う。

巻下の吉凶暦では

心宿,宜作王者所須事,並宜嚴服昇位,及取捉象馬調乘諸畜等。宜按摩,必得身分潤滿。宜事王者及取左右驅使人等,宜修鬢髮、作農桑業。唯除營功德事,自餘不可,輒出財與人,及放債凶

王に関わる事、正装しての昇進、象や馬を捕らえ調教する事に吉。按摩をすれば体が潤い満ちる。王に仕える、側仕えの人を雇う、髪を整える、農業・養蚕にも吉。ただし功徳のため以外に、むやみに人に財を出したり貸したりするのは凶とします。

経毒害宿としての心宿

経は27宿を性質で七種に分けています。心宿は毒害宿(どくがいしゅく)で、 同じ組は参宿・柳宿・尾宿です。 この組に生まれた人について経は「法合磣毒、剛猛惡性」(毒気があり、気性が荒く激しい)と書きます。

毒害宿の日は、城を囲む、敵陣を破る、賊を討つ、狩猟など、攻める事柄に向くとされる。

経ほかの章に出てくる心宿

七曜との組み合わせ

  • 月曜日の心宿は金剛峯日 — 魔や敵を降伏させる修法、日天子の真言、護摩など強い事によい日

本命宿がわからない人の宿

巻上は、生まれた月日を覚えていない人が訪ねてきたら、その人が最初に触れた体の部位で宿を決めよ、と説きます。心宿にあたるのは「左腕」です。

若觸左臂則屬心宿

七曜が犯すと災いがあるとされる宿

同じ章は、七曜(日・月と五惑星)が自分の命宿のほか、命宿から数えて4・10・13・16・20番目の宿に入ると災いがあるとします。心宿生まれの場合は 事宿が奎宿(災いを招く)、意宿が斗宿(憂いや苦しみが多い)、聚宿が参宿(財を失い、囚われる)、同宿が星宿(家族が離れ、家が衰える)、克宿が昴宿(財や官職を失い、勢いが衰える)です。

経楊景風の注 — 中国の星座との違い

中國天文,心三星,主明堂印政,東方之宿也

中国の天文でも心は三星で、天子の政務を司る東方の宿。

出典:『宿曜経』巻上「宿曜暦経序日宿直所生品第二」(大正新脩大蔵経 第21巻 p.389c18–c24、CBETA のテキストによる)。現代語訳は当サイトによる大意です。

星空での位置と対応

ナクシャトラ
Jyeṣṭhā(ジェーシュター)— 名の意味は「最年長」
インドでの神格
インドラ(神々の王)。経の「因陀羅」はインドラの音写で、一致します。
対応する星
アンタレス(さそり座α星)・σ星・τ星
二十八宿として
和名は「なかごぼし」。さそり座中央部にあたり、距星(宿の基準星)はさそり座σ星。東方青龍の七宿の一つ
十二宮への配当
蝎宮4足(経の「分定宿直品第一」による。1宮を9足、1宿を4足に分ける)

ナクシャトラは黄道を13°20′ずつ27等分した区画で、中国の不等間隔な二十八宿とは同じ星を指すとは限りません。名の意味・神格・星は英語版 Wikipedia「Nakshatra」の一覧、距星は日本語版 Wikipedia「二十八宿」の表によります。

現代心宿の読み方

神々の王インドラの宿で、名は「最年長」、中心の星はさそり座の赤い一等星アンタレス。経の人物描写は「処族衆得愛敬(人々の中で愛され敬われる)」「摧悪奨善」と、集団の中心に立つ年長者らしい姿です。一方で分類は毒害宿に入り、個別の記述と分類の性格が食い違う宿でもあります。現代的には、人望を集め、筋を通して悪いものは退ける、厳しさと面倒見を併せ持つ人と読めます。

心宿の日を今の暮らしに置き換えると

王に関わる事、正装しての昇進、按摩に向き、お金を出す・貸すのは避ける日。改まった場での挨拶や面談、体のメンテナンスに当てはめられます。

経の人物描写は唐代の暦占の言葉で、性格を断定するものではありません。この段落は当サイトが経の記述をもとに書いた解釈です。

心宿から見た三九の秘法

自分の宿を「命」として27宿を順に数え、9宿ずつ三巡させたときの位置で関係を決めるのが三九の秘法です(しくみは一覧ページ)。 経は相手と交わるとき「栄・安・成・友・親を善とし、交わってよい。それ以外はみな悪い」としており、心宿から見てこれにあたるのは15宿です。

栄えい 星宿・尾宿・婁宿
衰すい 張宿・箕宿・胃宿
安あん 昴宿・翼宿・斗宿
危き 畢宿・軫宿・女宿
成せい 觜宿・角宿・虚宿
壊かい 参宿・亢宿・危宿
友ゆう 井宿・氐宿・室宿
親しん 鬼宿・房宿・壁宿
業ごう 奎宿
胎たい 柳宿

色の付いた行が、経が「交わってよい」とする関係です。その宿の日に何をするとよいかや、現代の「栄親」「安壊」などの組み合わせでの読み方は一覧ページにまとめています。

心宿生まれになる旧暦の日

本命宿は、旧暦の各月1日に決まった宿を置き、1日ごとに次の宿へ進めて決めます(閏月は同じ数の月と同じ)。心宿にあたるのは次の日です。

  • 正月21日
  • 二月19日
  • 三月17日
  • 四月15日
  • 五月13日
  • 六月11日
  • 七月8日
  • 八月5日
  • 九月3日・30日
  • 十月1日・28日
  • 十一月25日
  • 十二月23日

生年月日から本命宿を計算する →

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参考資料